◎地中海で活動している援助団体は先週、このグループが無人島に流れ着き助けを求めていると報告していた。
トルコ近海の島に流れ着いた亡命希望者が撮影した写真(Twitter/@g_christides)

ギリシャ政府は16日、トルコと同国の間の島に流れ着いた移民38人を保護したと発表した。

地中海で活動している援助団体は先週、このグループが無人島に流れ着き助けを求めていると報告していた。

ギリシャ警察は先週の声明で、「援助団体から移民が島に取り残されているという情報を受けたものの、対象の島はギリシャの領海外であったため、トルコ政府に救援を依頼した」と報告していた。

AP通信はギリシャ難民協議会の話を引用し、「このグループは7月中旬頃から地中海をさまよい、小島に流れていた」と報じている。

報道によると、38人の内訳は男性22人、女性9人、子供7人。全員シリア人とみられるが、国籍は明らかにされていない。

ギリシャの海上警備隊は15日に38人を発見し、ギリシャ本土に連行した。

政府報道官は16日、「一行の体調は良好であり、妊婦は念のため医療機関に搬送された」と述べた。

しかし、ギリシャの国営ラジオ・テレビERTは先週、援助団体の話を引用し、「島でサソリに刺された5歳の少女が死亡した」と報じていた。

警察はこの話が事実か否かには言及していない。

ミタラチ(Notis Mitarachi)移民政策相は16日、38人が発見された島の近くを訪問した際、「政府は赤十字社と協力して遺体を回収し、尊厳ある葬儀を行う」と記者団に語った。

ギリシャとトルコは38人が流れ着いた島の位置をめぐって言い争っている。

ギリシャ政府は当初、「島に流れ着いて人々は全員シリア人で、トルコ領海内にいる」と報告していた。

しかし、38人はギリシャ領海外の公海上の島で保護された。このため人権団体は、両政府がもっと早く行動していれば、38人は苦しまずに済んだと非難している。

ギリシャ本土からツイッターに写真を投稿した38人のうちの1人は、「トルコとギリシャのサッカーの試合に巻き込まれた」と述べている。「両政府は私たちを無視し、ボールを押し付け合いました...」

人権団体や活動家は、「ギリシャ政府は領内に入った亡命希望者の権利を尊重せず、元の国に送り返す、または領海外に押し出している」と主張しているが、ギリシャ政府はこれを否定している。

一方、シリア難民300万人以上を保護しているトルコも、亡命希望者を西欧に積極的に押し出そうとしていると非難されている。

一部の亡命希望者は「ギリシャ当局に押し返され、トルコ当局からも押し返され、完全に行き場を失った」と説明している。

ギリシャ政府はこうした主張を否定し、「難民の地位に関する1951年の条約 」を遵守していると反論してきた。

国際救済委員会(IRC)は16日、38人の発見が遅れたことについて、「ギリシャとトルコ両政府の移民に対する残虐行為を象徴している」と非難した。「彼らは移民を否定し、押し戻し、受け流し、どこかに行けと言っています」

ギリシャの島々は2015年と2016年に発生したシリア難民危機の主要な入り口のひとつだった。危機の間、100万人以上がこのルートを利用してギリシャや他のヨーロッパ諸国に渡ったと推定されている。

国連によると、今年1月から6月の間にギリシャに海路で入ったシリア人は少なくとも230人確認されたという。

2022年3月24日/ブリュッセルのNATO本部、トルコのエルドアン大統領(右)とギリシャのミツォタキス首相(Getty Images/AFP通信)
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