◎オーデル川の源流点はチェコ北東部の山脈で、そこからポーランドとドイツを通過し、バルト海に流れ込む。
2022年8月12日/ドイツとポーランドの国境付近を流れるオーデル川、魚の死骸(Patrick Pleul/ドイツ通信社)

ポーランド政府は12日、ドイツ国境沿いを流れるオーデル川に化学廃棄物が意図的に投棄された可能性があると発表した。

ポーランドの日刊紙ガゼタ・ビボルチャによると、2週間ほど前からオーデル川の岸辺に魚の死骸が流れ着くようになり、その量は日を追うごとに増えたという。この現象はドイツ側でも確認された。

ポーランドのモラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相はフェイスブックに投稿して声明で捜査が進んでいると報告し、「関与した者に責任を取らせる」と約束した。

またモラウィエツキ氏は「膨大な量の化学廃棄物が意図的にオーデル川に投棄されたのだろう」と述べたが、捜査に関する情報は明らかにしなかった。

ドイツの一部メディアは「水銀が投棄された可能性がある」と報じたが、政府とその他の関係機関は廃棄物に関する情報を公表していない。

7月下旬、ポーランド南西部の町近くでビーバーなどの死骸とともに、大量の魚の死骸が最初に発見された。

同国の河川を管理するポリッシュ・ウォーターズ(Polish Waters)の報道官は11日、「これまでに魚の死骸10トンを回収した」と報告した。

また報道官は「河川に何かしらの化学廃棄物が投棄されたことは明らかである」とした。「巨大で非道な何かが川に大量に投棄され、生態学的大災害を引き起こしたことは明らかです...」

オーデル川流域の住民は当局に調査を急ぐよう要請している。

一方、ドイツ政府は今週、ポーランドがオーデル川が汚染されている可能性を直ちに通知せず、国際条約を守らなかったと不満を表明した。ドイツ側で魚の死骸が流れ着いたと初めて通報があったのは8月9日だった。

ドイツ環境省の報道官は12日、記者団に対し、「ポーランドとうまく連携が取れなかったことは明らかだ」と述べ、懸念を表明した。

報道官によると、環境省はポーランド当局と連絡を取り、必要な情報を交換し、要請があればあらゆる支援を提供するとポーランド政府に通知したという。

ポーランドはオーデル川の浄化を支援するために軍を派遣した。一方、西部の都市ジェロナ・グラの漁業組合は12日、オーデル川での漁を中止すると発表した。

モラウィエツキ首相によると、汚染の規模は非常に大きく、川の生態系が回復するまでには何年もかかる可能性があるという。

ブワシュチャク(Mariusz Blaszczak)国防相は11日、オーデル川の汚染物質を除去するために、兵士と予備兵を派遣し、作業に当たらせると発表した。

オーデル川の源流点はチェコ北東部の山脈で、そこからポーランドとドイツを通過し、バルト海に流れ込む。延長は854km。流域面積約12万㎢のうちポーランド領内の面積は89%、チェコが6%、ドイツが5%となっている。

2022年8月12日/ドイツとポーランドの国境付近を流れるオーデル川(Patrick Pleul/ドイツ通信社)
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