◎リュッツェラートの炭鉱の近くには国内最大規模の石炭火力発電所がある。
2022年4月23日/ドイツ、西部ノルトライン・ウェストファーレン州リュッツェラート、炭鉱の拡張計画に反対する抗議デモ(Henning Kaiser/ドイツ通信社)

ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州で23日、村をつぶして炭鉱を拡張する計画に抗議するデモが行われた。

ドイツ通信社(dpa)によると、デモと行進は平和的に行われたという。警察は約2000人が参加したと報告している。

同州郊外の村リュッツェラートの一部の住民は立ち退き命令の取り消しを求める裁判に敗れており、数週間前に大手エネルギー会社RWEに土地を売却した。

村には多くの環境活動家が住んでおり、その中には炭鉱拡張計画を阻止するために自力で木の家を建てた活動家もいると伝えられている。

活動家たちは、「炭鉱拡張計画は政府の温室効果ガスを削減するという目標を阻害する」と主張している。また活動家以外の住民も自然豊かなリュッツェラートを破壊すべきではないと政府に訴えている。

抗議デモに参加したウクライナの気候活動家は、ドイツ政府がロシアから石炭、原油、天然ガスを購入し続けていることを批判したうえで、石炭ではなく再生可能エネルギーを拡張してロシア産化石燃料から脱却すべきと訴えた。

一部の政府関係者は、「ロシア産化石燃料の輸入量を短期間で減らすためには、国内の炭鉱を拡張し、温室効果ガスを排出する石炭に短期的に依存する必要がある」と指摘している。

リュッツェラートの炭鉱の近くには国内最大規模の石炭火力発電所がある。

欧州最大の工業地帯であるノルトライン・ウェストファーレン州は来月、州議会選挙を控えている。

最新の世論調査によると、第一党のキリスト教民主同盟(CDU)は支持率を落とし、緑の党が議席を大幅に伸ばす可能性があるという。CDUは連邦政府では野党だが、ノルトライン・ウェストファーレン州では連立政権の第一党である。

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