◎これは外国から資金の20%以上を得ているメディアやNGOを「影響力のある団体・組織」に指定し、必要書類の提出を求めるものである。
ジョージアの国会議長が3日、物議を醸している外国エージェント法案に署名した。
ズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)大統領は最後まで署名を拒否したが、これにより通称「ロシア法」は成立・施行される運びとなった。
これは外国から資金の20%以上を得ているメディアやNGOを「影響力のある団体・組織」に指定し、必要書類の提出を求めるものである。
国会は先月末、ズラビシュヴィリ氏の拒否権を覆し、同法案を再可決した。
ズラビシュヴィリ氏は5日以内に法案に署名しなければならなかったが、最後まで拒否し、代わりに国会議長が署名した。
ズラビシュヴィリ氏はこの法律がジョージアの未来、EUとNATO加盟に向けた交渉を危うくし、世界の民主主義国家の一員になる道を妨げると非難してきた。
ジョージアの地元メディアはこの法律を「転換点」と表現。「現政権はこの国を民主主義から権威主義に導こうとしている」と批判した。
コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相は「有害な外国勢力」を阻止するためにこの法律が必要と主張してきた。
地元メディア、ジャーナリスト、活動家たちはこの真の目的について、「10月に予定されている議会選を前に、反対派に汚名を着せ、議論を制限することだ」と反発。首都トビリシの市民社会グループは憲法裁判所に異議を申し立てるとしている。
あるジャーナリストはX(旧ツイッター)にこう投稿している。「このロシア法はジョージアの未来、EUとNATO加盟というジョージアの夢を殺すだろう」
親欧米派の野党は3日、相次いで声明を出し、「この法律の目的はジョージアからNGO、独立系メディア、野党を一掃し、ロシア側引きずり込むことだ」と主張した。
地元メディアによると、一部の野党事務所に先週、覆面を付けた暴徒が押し入り、窓ガラスを割ったり、家具を壊したりしたという。
ある野党議員はこれに与党・ジョージアの夢の支持者が関与していると主張したが、警察はコメントを出しておらず、捜査が進められているものとみられる。
ジョージアとロシアの関係は2008年の南オセチア紛争で崩壊。ロシアはこの紛争で南オセチアとアブハジアの分離主義勢力を支援し、ジョージアを3分割した。
それ以来、ロシア軍の支援を受ける分離主義者がこの両地域を実効支配している。
両地域はジョージアからの独立を一方的に宣言。ロシアはこれを承認したが、国連は認めていない。
政府はロシア寄りの姿勢を示しながらも、EUとNATOへの加盟を目指すと主張している。