◎EU諸国とガスプロム社はユーロ、ドル、または自国通貨建てで契約している。
2022年4月27日/ロシア、サンクトペテルブルクのガスプロム本社ビル(Dmitri Lovetsky/AP通信)

ロシア国営ガスプロム社は30日、ラトビアへの天然ガス供給を停止したと発表した。

ガスプロム社は声明で、「ラトビアは購入条件に違反した」と述べているが、違反の詳細は明らかにしていない。

ラトビアは国内で消費するガスの多くをロシアから輸入しているが、地元メディアによると、影響はほとんど出ない見込みだという。

一方、ウクライナ軍は30日、南部ヘルソン州のロシア軍武器庫2カ所を破壊したと報告した。

ウクライナは開戦直後に占領されたヘルソン州の奪還作戦を進めているとみられ、南部ロシア軍の主要補給路アントノフスキー橋(全長1.4km)を通行不能にした。

英国防省によると、ロシア軍は南部地域への補給路を確保するために、2つの簡易橋とフェリーによる物資輸送を始めた可能性があるという。

一部の専門家はここ数日ロシア軍のミサイル攻撃が広い範囲に及んでいることについて、「ロシアはウクライナ軍の目をヘルソン州からそらさせるためにミサイルを乱発している可能性が高い」と指摘している。

EU諸国はロシアが西側諸国の経済制裁に対抗するためにガスを兵器化したと非難している。

ラトビアのエネルギー消費における天然ガスの割合は全体の27%に過ぎない。ロイター通信は政府高官の話を引用し、「ガスプロム社を失っても大きな影響は出ない」と報じた。

一方、NATO(北大西洋条約機構)はロシアと国境を接するラトビア、エストニア、リトアニアの駐留部隊を強化している。バルト三国はこの地域の安全保障の要である。

バルト三国は来年、ロシア産天然ガスの輸入を停止する予定であり、LNG(液化天然ガス)輸入やガス田開発を強化している。

ガスプロム社の欧州向けパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量は27日時点で従来の約20%まで減少した。

ロシアは非友好国に天然ガスをルーブル建てするよう命じているが、EUはこれを拒否している。EU諸国とガスプロム社はユーロ、ドル、または自国通貨建てで契約している。

ラトビアのガス事業者は今週、「ロシアのガスを購入しているが、支払いはユーロで行っている」と述べていた。

ガスプロム社はEUの対ロシア制裁強化を受け、ルーブル建てを拒否したブルガリア、フィンランド、ポーランド、デンマーク、オランダへのガス供給を停止している。

また同社は英石油大手シェルの子会社シェル・エナジー・ヨーロッパのドイツ向けパイプラインも停止した。

EU諸国は現在、米国、アフリカ、中東諸国からのLNG輸入量を増やす取り組みを進めている。

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