◎一部の左派政治家や支持者はボルヌ氏の就任を批判した。
2018年9月5日/フランス、パリの大統領府、エリザベート・ボルヌ氏(Christophe Ena/AP通信)

フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は16日、新首相に中道のエリザベート・ボルヌ(Elisabeth Borne)労働・雇用・社会復帰相任命した。

前任のカステックス(Jean Castex)氏は辞任し、約30年ぶりの女性首相が誕生した。フランスの女性首相はクレッソン(Edith Cresson)氏に続き史上2人目。

ボルヌ氏は就任演説で、「この任命をすべての少女に捧げたい」と述べた。「夢を追いかけろと伝えたい。私たちの社会における女性の地位向上に取り組む戦いを阻むものはありません」

マクロン氏とボルネ氏は数日中に新政権の閣僚を任命する予定。

一部の左派政治家や支持者はボルヌ氏の就任を批判した。

極左のメランション(Jean-Luc Melenchon)氏は、「彼女の任命は社会的・環境的虐待を意味する」とツイートした。「彼女は何をしましたか?100万人の失業者の手当削減です。中道政治家は国民を痛めつけています」

ボルヌ氏の最初の任務は、6月に行われる国民議会選でマクロン氏の中道「共和国前進」の議席を確保することである。

国民議会選の投票は6月12日と19日の2回に分けて行われる。12日の投票で過半数を獲得した候補は当選。いなければ「しきい値」の12.5%を上回った候補が19日の投票に進む。共和国前進が単独過半数を維持できるかどうかが焦点になる。

マクロン氏は16日、食料やエネルギー価格の急騰に伴う生活費高騰に対処する法案を提出すると発表した。フランス24によると、新政権は議会選後に法案を提出する予定だという。

共和国前進主導の連立政権が過半数を維持した場合、ボルヌ氏はマクロン氏が公約のひとつに掲げている定年を62歳から65歳に段階的に引き上げる年金改革を法制化できると思われる。この改革案は労働者、労働組合、左派有権者から激しく批判されている。

ボルヌ氏は気候変動担当も兼任する予定。マクロン氏は気候関連対策を加速させると約束している。

労働者、労働組合、そして左派有権者はボルヌ氏の実績も批判している。同氏は労働相就任後、失業者が給付を受けにくくなる措置を実施し、一部の失業者の毎月の給付額を減らした。

2018年の運輸相時代にはフランス国鉄従業員の終身雇用と手当を保証する権利を廃止する計画に乗り出し、大規模なストライキに直面した。

ボルヌ氏は社会党の政治家ロワイヤル(Segolene Royal)氏の首席補佐官を経てオランド(Francois Hollande)元大統領の下でエコロジー移行相を務めるなど、キャリア当初は左派に近かった。

2015年にはパリ交通公団(RATP)のCEOに就任し、2017年に共和国万歳に入党。第一次マクロン政権では最初に運輸相、次にエコロジー移行相を務めた。

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