◎マクロン陣営は支持者や無党派層が世論調査の結果を見て安心し、「棄権しても大丈夫」と思うことを恐れている。
2022年4月2日/フランス、パリで開催されたマクロン大統領の選挙集会(Francois Mori/AP通信)

フランスの大統領選関連特番などによると、エマニュエル・マクロン大統領は以前他の候補をリードしているが、無党派層、特に若者の棄権が選挙結果に大きな影響を与える可能性が高いという。

各紙の世論調査はマクロン大統領のリードと伝えている。国民連合のル・ペン党首もここ数日支持率を伸ばしており、この二人が決選投票に進むことは間違いなさそうである。

マクロン大統領は2日の選挙集会で、「絶対はない」と強調した。「世論調査を見て、選挙は終わった、すべてうまくいくと思わないでください。メディアの情報を鵜呑みにしないでください。ありえないと思われたブレグジット(イギリスのEU離脱)は現実になりました」

各紙の決選投票の世論調査を見ると、マクロン大統領とル・ペン党首の差はほとんどない。2017年の決選ではマクロン大統領が66%を獲得し圧勝した。

極右のル・ペン党首はイメージを和らげ、2014年のロシアによるクリミア併合を支持するという発言を撤回し、右派と中道の有権者を取り込むことに成功したように見える。

この数日、候補者たちは「マッキンゼー事件」と呼ばれる政府コンサル企業の問題を熱烈にプッシュし、マクロン陣営に圧力をかけた。

この事件はコロナワクチン接種キャンペーンやその他の政策でフランス政府に助言するために雇われた米国の大手コンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に由来している。

上院は政府の民間コンサル利用を疑問視し、マッキンゼーの税金逃れを非難している。検察は6日、脱税の疑いでマッキンゼーの予備調査を開始すると発表した。

マクロン陣営は支持者や無党派層が世論調査の結果を見て安心し、「棄権しても大丈夫」と思うことを恐れている。

マクロン陣営の顧問であるデスカンプ氏はAP通信の取材に対し、「懸念している」と語った。「私の周囲にはどう対応すればよいか分からないという人もいます...」

デスカンプ氏は無党派層に対し、「極端な候補がイヤであれば、棄権ではなくマクロン大統領に投票すべき」と訴えた。

マクロン大統領も2日の演説で、極右と極左の集会にサクラとして動員される無党派層に呼びかけた。「あなたの思いを投票で伝えてください...」

世論調査で3位につけている極左のメランション党首も支持率を伸ばしているが、2位のル・ペン党首には届きそうにない。極右のゼムール氏と共和党のペクレス氏は苦戦している。

大統領選挙はフランスの有権者を最も興奮させるイベントである。

しかし、投票率は2007年の84%から2017年には78%まで低下し、調査によると、今回の投票率は前回を下回る可能性が高いという。特に若者や労働者階級の投票率は低い。

世論調査会社のポリティコも、投票率の低下が結果に影響を与えると予想している。

パリ北部郊外で生活する富裕層のガルニエ氏はAFP通信に、「政治家の言うことは信用できない」と語った。「有権者は候補者の公約を信じ投票しますが、彼らはいったん権力を握ると態度を一変させます。投票しても無駄だと思う人が増えているような気がします」

ガルニエ氏は政治家がフランスの日常生活から離れすぎていると感じている。「マクロン大統領とル・ペン党首の決選投票になった場合は棄権するかもしれません...」

有権者の最大の関心事はエネルギーと物価の高騰だが、各候補の社会保障、移民、環境政策に注目している有権者もたくさんいる。しかし、ロシア・ウクライナ戦争がメディアを席巻した結果、インフレを除く問題はほとんど取り上げられず、不満を感じている人が多い。

パリ北部で公立中学校の教師をしている男性は、「今回の選挙戦には政治的な議論が欠けている」と嘆いた。「メディアはロシアに厳しい対応を取っているマクロンを押していますが、マクロンの政策や国の経済状況にも注目すべきです」

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