◎欧州のエネルギー供給はこの数カ月、過去に類を見ない緊張状態にある。
フランス、パリ近郊の送電鉄塔(Getty Images)

フランスのエネルギー大手3社は26日、ロシア産天然ガスの供給削減と燃料価格の高騰を受け、国民に電気、ガス、ガソリンの消費を抑えるよう呼びかけた。

トタルエナジー、フランス電力(EDF)、エンジーの3社は日曜紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Journal du Dimanche)に掲載された共同声明で、「この取り組みは即座に、集団で、大規模に行う必要がある」と述べた。

ロシア国営ガスプロム社はEUの対ロシア制裁の報復として、一部のEU加盟国へのガス供給を遮断もしくは減らしている。

欧州のエネルギー供給はこの数カ月、過去に類を見ない緊張状態にある。ロシア産ガスの供給減は国内のLNG(液化天然ガス)貯蔵施設に圧力をかけ、一部の国は配給措置を取っている。

フランスは他のEU加盟国と同様、冬に備えてLNGの貯蔵量を増やすとしており、秋までに満タンにすることを目標としている。

大手3社は、「夏に対策を講じることで、冬に備えることができる」と述べている。「エネルギー価格の高騰は、社会的・政治的結束を脅かし、同時にフランスの家庭に大きな影響を与える可能性があります」

一部のEU加盟国は石炭火力発電所を再稼働し、LNG火力発電所の負荷を減らすとしている。

AFP通信は仏政府高官の話を引用し、「マクロン政権は冬の電力需要を満たすために、東部モーゼル県にある石炭火力発電所を再稼働する予定」と報じた。

政府はマクロン(Emmanuel Macron)大統領の政策に基づき、年内にすべての石炭火力発電所を閉鎖する予定である。モーゼル県の同発電所は今年3月に停止した。

フランスで現在稼働している石炭火力発電所は1基のみである。ラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)は26日、政府の声明を引用し、「ウクライナ情勢とエネルギー市場の不確実性を考慮するが、石炭火力の再稼働は一時的な措置」と報じた。

RTLによると、ロシア産の石炭は使用されず、全国の発電量に占める石炭火力の割合は再稼働後も全体の1%未満にとどまるという。フランスは世界一原子力発電の割合が高い国で、全発電の約77%を原子力が占めている。

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