◎投票率は47.5%にとどまり、過去最低を更新した。
2022年6月12日/フランス、首都パリ、左翼連合のメランション党首(Christophe Ena/AP通信)

フランス国民議会(下院:定数577)の第1回投票が12日に行われ、メランション(Jean-Luc Melenchon)氏率いる左翼連合「Nupes」が議席を大幅に伸ばすことが確実となった。

地元メディアと世論調査会社はマクロン(Emmanuel Macron)大統領の与党連合は過半数に届かない可能性があると予想している。

12日の投票で有効票の過半数を獲得した候補は当選。いなければ「しきい値」の12.5%を上回った候補が6月19日の第2回投票に進む。

4月の大統領選でも票を大きく伸ばしたメランション党は12日午後の時点でマクロン党と拮抗している。

報道によると、投票率は過去最低を更新する47.5%だった。

開票速報が流れてから約30分後、メランション氏はパリの集会場で左翼連合がリードしていると発表し、「マクロンを打倒する時が来た!」と支持者に呼びかけた。「テレビをごらんなさい。第1回投票の結果、マクロンは打ちのめされ、敗北を喫しました」

「来週19日が勝負です。マクロンの悲惨な政策を拒否するために投票しましょう!」

マクロン氏は4月に再選を果たしたが、国民議会で過半数を失えば、法案を提出するたびにとてつもない労力を費やさなければならなくなるだろう。

マクロン氏は定年を62歳から65歳に段階的に引き上げる予定だが、メランション氏は60歳に引き下げると公約に掲げている。

フランス24などによると、マクロン党の投票率はメランション党はわずかに上回っている。

世論調査会社Ifopは
▽マクロン党:275〜305議席
▽メランション党:175〜205議席
と予想している。

一方、フランス・テレビジョンの世論調査会社イプソスは
▽マクロン党:255〜295議席
▽メランション党:150~190議席
と予想した。

今回の選挙は4月の大統領選に比べると明らかに盛り上がりに欠けていた。

しかし、メランション氏は例外で、積極的な選挙活動を展開し、特に若者の支持を集めたとみられる。

メランション氏は自身の極左政党「不服従のフランス」、社会党、共産党、緑の党からなる左翼連合「Nupes」を結成し、「メランションを首相に」というスローガンを掲げている。

メランション氏の主な目的は「マクロン党の過半数阻止」と「定年の引き上げ阻止」であり、さらに生活必需品の小売価格を固定し、100万の雇用を生み出すとしている。

一方、ボルヌ(Elisabeth Borne)首相率いる新政府を立ち上げたばかりのマクロン氏は、インフレや食料・燃料価格の高騰に対処するとしている。

ボルヌ氏は12日、「過半数を獲得できるか否かは19日にかかっている」と有権者に訴えた。また、ロシアによるウクライナ侵攻を引用し、「今、リスクを冒すことはできず、フランスが危険にさらされている」と述べた。「一貫性と責任感のある政策を打ち出しているのは私たちだけです!」

ボルヌ氏を含む新政府の閣僚は議席を維持しなければならず、落選すれば終わりである。パリ南部地区のブランケール(Jean-Michel Blanquer)前教育相は早々に落選が決まった。

一方、4月の大統領選決選投票で敗れた極右のルペン(Marine Le Pen)党首は結果に満足した。

ルペン氏の国民連合は選挙前の8議席を大幅に上回る15~30議席を獲得するとみられる。大統領選を引っ掻き回したもうひとりの極右候補、ゼムール(Eric Zemmour)氏はTKO負けを喫した。

大統領選で大敗を喫した元与党の共和党は45~65議席を獲得すると予想されている。

2022年6月12日/フランス北部の投票所、有権者に挨拶するマクロン大統領(Ludovic Marin/Pool/AP通信)
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