◎フランスはマリの駐留軍を撤退させる予定だが、ジハード組織との戦いは維持する意向である。
2022年2月16日/フランス、パリのエリゼ宮殿、マクロン大統領とチャドのマハマト・デビ大統領(Francois Mori/AP通信)

2月16日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は西アフリカで進行中のサヘル紛争について話し合う会議を主催し、マリから仏軍を撤退させる予定と明らかにした。

フランス主導のアフリカ連合軍は2012年からサヘル地域で活動するアルカイダやイスラム国(ISIS)関連のジハード組織と戦っている。犠牲者は民間人込みで数千人、約150万人が避難民になったと推定されている。

フランスはマリの駐留軍を撤退させる予定だが、ジハード組織との戦いは維持する意向である。マクロン大統領は17日の記者会見で詳細を説明すると述べた。

EUとマリを含む西アフリカ諸国の関係は、一部の国の暫定政府がロシアの傭兵を領土保全のために雇って以来、緊張している。

公共放送フランスTVによると、今回の会議では仏軍のマリ撤退が地域に与える影響、国連平和維持軍やEU部隊の配備などについて協議する予定だという。

17日と18日にはブリュッセルのEU本部でEU・アフリカ首脳会議が予定されており、今回の会議で話し合われた内容も反映されると伝えられている。EUは先々週、マリの軍事政権の高官5人に制裁を科した。

フランスの大統領府によると、会談にはチャドとニジェールの首脳、モーリタニアの外相、EUの首脳が出席する予定。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)から一時的に除外されているマリとグルキナファソの軍事政権は招待されていない。

フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外相は16日の議会演説で、「マリとの関係悪化はサヘルの作戦に影響を与えることになった」と懸念を表明した。

ロシアの民間軍事企業ワグナー・グループはマリ、中央アフリカ共和国、リビア、シリアなどで活動しており、一部地域の人権侵害に関与したと非難されている。

フランスはサヘル地域に約4,300人の兵力を有し、そのうち2,400人がフランスの旧植民地であるマリに、残りは主にチャド、ニジェール、ブルキナファソ、モーリタニアに駐留している。

AP通信の取材に応じたフランスの政府関係者は、タクバと呼ばれるEU主導の機動部隊もマリから撤退する可能性があると述べたうえで、「サヘル地域の他の国々はより多くの支援を求めており、EUは紛争終結に向けた取り組みを維持する」と強調した。

マクロン大統領は4月に大統領選挙を控えており、無秩序な撤退による紛争の拡大と混乱は避けたいと考えている。

2012年の作戦開始以来、少なくとも53人のフランス兵が死亡している。ジハード組織は近年、市民や国連平和維持軍への攻撃を激化させており、多くの犠牲者が出ている。

マリの暫定政府は先月、国連軍を支援するために現地入りしたデンマーク軍に、到着からわずか1週間で撤退を要求した。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相はマリの撤退要請について、「サヘルの戦況は刻一刻と悪化しており、欧州南部に影響を与える可能性がある」と懸念を表明した。「西アフリカの治安悪化は移民の急増だけでなく、アルカイダやISISを後押しする可能性があります...」

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