◎迷子のシロイルカは先週、北極圏の生息地から遠く離れた生ぬるいパリのセーヌ川で初めて目撃された。
2022年8月8日/フランス、パリ北西部を流れるセーヌ川(Sea Shepherd France)

フランスのレスキュー隊は8日、パリのセーヌ川に迷い込んだシロイルカを救出する野心的な作戦を開始した。

シロイルカはイッカク科シロイルカ属に分類されるクジラ類。欧州ではシロクジラやベルーガと呼ばれている。

迷子のシロイルカは先週、北極圏の生息地から遠く離れた生ぬるいパリのセーヌ川で初めて目撃された。

イギリス海峡からパリまでは100km以上離れており、衰弱した状態で自力で泳いで戻るのは困難と考えられている。

AFP通信によると、救出作戦には消防のダイバー、獣医、警察官など、約80人が参加しているという。

反捕鯨団体シー・シェパードのフランス支部は声明で、「レスキュー隊はハンモックのようなものでシロイルカを救出し、専用のトラックでノルマンディー地方に運ぶ予定だ」と述べている。

同支部によると、シロイルカはイギリス海峡近くで数日間治療を受けた後、海に戻す予定だという。シロイルカはパリ北西約70kmのヴェルノンの閘門(こうもん)を通過できずにいた。

ノルマンディー地方ウール県の報道官は声明で、「救出活動には技術が必要であり、困難が予想される」と述べた。

報道によると、移送トラックには獣医が同乗し、シロイルカの健康状態を常時チェックするという。

AFP通信は南仏の海洋動物公園マリンランドの専門家の話を引用し、「シロイルカは健康に問題を抱えているかもしれないが、彼らはとても丈夫なのできっと大丈夫だ」と報じた。

セーヌ川の現場には救助の様子を見守る野次馬が集まっている。報道によると、ノルマンディー地方の目的地にも多くの人が集まっているという。

シー・シェパードは冷凍ニシンや生きたマスをシロイルカに与えようとしたが、警戒心の強い迷子はこれを拒み、フラフラと泳ぎ続けた。

専門家によると、シロイルカは夏から秋にかけてエサを求めて北極圏から南下することがあるが、生息地からこれほど離れることは珍しいという。

パリから最も近いシロイルカの生息地はノルウェー領スバルバル諸島沖で、パリから約3000km離れている。

しかし、大型哺乳類が生息地から大きく離れた都市部に近づくことは決して珍しくない。今年5月にはノルマンディーのセーヌ川下流付近でシャチの死骸が発見された。

2022年8月8日/フランス、パリ北西部のセーヌ川沿い、消防隊員(Sea Shepherd France)
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