◎レンタカーで首都パリ郊外のナンテールを走行していた17歳のナエル・Mさんは27日、停止命令を無視し、警察官に射殺された。
2023年6月29日/フランス、首都パリ近郊のナンテール、17歳の少年が警察官に射殺された事件に抗議する暴徒(Gonzalo Fuentes/ロイター通信)

フランス全土で17歳の運転手が警察官に射殺された事件に抗議するデモが続いている。現地メディアが30日に報じた。

AP通信によると、デモが始まってから3日目の夜にも各地で暴徒が暴れまわり、略奪や放火が確認されたという。

レンタカーで首都パリ郊外のナンテールを走行していた17歳のナエル・Mさんは27日、停止命令を無視し、警察官に射殺された。

暴徒はナンテールの通りにバリケードを設置し、建物や車に火を放ち、通りの商店を略奪。機動隊に石や花火を投げつけた。

報道によると、警察署、学校、役場などが標的となり、機動隊は催涙ガス、放水砲、スタングレネードなどで暴徒に応戦・撃退したという。

内務省は30日、「複数の都市で合計875人が逮捕され、3880件の火災が発生、2000台の車両が燃やされ、492棟の建物が損壊した」と発表した。

逮捕者の半数がパリの暴動に参加した若者だった。

ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は30日、ツイッターに声明を投稿し、「多くの警察官、憲兵隊、消防士たちが勇気をもって暴力に立ち向かった」と書き込んだ。

パリ警察によると、中心部の駅近くにあるナイキの旗艦店に押し入ったとされる14人が逮捕されたという。SNSには暴徒の略奪や放火を糾弾するコメントが多数寄せられている。

南部マルセイユでは市中心部で暴徒が機動隊に襲いかかり、少なくとも18人が逮捕された。当局によると、私服警察官2人が29日夜に暴行を受け、病院に搬送されたという。警察は殺人未遂事件として捜査を開始すると発表した。

29日夜には騒乱に対処するため、全土に警察官約4万人が緊急配備された。ダルマナン氏によると、一晩で警察官250人近くが負傷したという。

EU本部のあるベルギー・ブリュッセルでも抗議デモが暴動に発展。少なくとも8人が逮捕された。

APによると、ブリュッセル中心部に警察官数十人が配備され、地下鉄駅が閉鎖されたという。

暴動は30日の深夜まで続いた。ストラスブールではアップルストアが略奪被害に遭い、33人が現行犯逮捕された。

ナンテール地検によると、ナテルさんを射殺した警察官は殺人の疑いで勾留されているという。

この事件を担当する検事は29日、「勾留された警察官は発砲する要件を満たしていなかった」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

マクロン(Emmanuel Macron)大統領とボルヌ(Élisabeth Borne)首相は警察が法に基づいて事件を捜査しているとし、デモ隊に平静を保つよう呼びかけている。

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