◎イスラム過激派の暴力に直面する西アフリカではこの数年、軍事クーデターが相次いでいる。
2017年5月/西アフリカ・マリのフランス軍基地、マクロン大統領(Getty Images/ロイター通信)

フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は24日、軍事政権の支配下に置かれた西アフリカ・ニジェールの駐仏軍に撤退を命じたと明らかにした。

マクロン氏はフランステレビジョンのインタビューで、「24日に追放されたバズム(Mohamed Bazoum)大統領と電話で話し、大使の帰国と部隊の撤退を伝えた」と語った。

イスラム過激派の暴力に直面する西アフリカではこの数年、軍事クーデターが相次いでいる。

フランスはこの地域の旧宗主国であり、ニジェール、マリ、ブルキナファソ、チャドなどと連携して対テロ作戦を主導してきた。

サハラ砂漠以南のサヘル地域には仏軍の兵士数千人が駐留している。

大統領警護隊らで構成される反乱軍は7月26日、首都ニアメの大統領府を占拠し、バズム氏とその家族を拘束。その後、チアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍が国家元首に就任した。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はバズム氏の即時解放と憲法秩序の回復を軍政に求め、応じない場合は軍事介入も辞さないと警告している。

ニジェールには仏兵が約1500人駐留している。軍政はフランス政府に兵士・大使・大使館職員を帰国させるよう要請したが、マクロン氏はこれを拒否してきた。

両国の関係はこの数週間で急激に悪化し、マクロン氏は今週、「外交官たちはニアメの大使館に立てこもり、仏軍の支援を受け何とか生き延びている」と発言していた。

マクロン氏は24日のインタビューの中で、「ニジェールのクーデター指導者はテロとの闘いを望んでいないため、協力関係に終止符を打つ」と強調した。

またマクロン氏は「軍政と調整しながら、年内を目途に部隊を徐々に撤退させる」と述べた。

仏軍の駐留は当時のニジェール政府からの要請に応えたものであった。しかし、クーデター以来、フランスはニジェールとの軍事協力を一時的に中断していた。

軍政はバズム氏がニジェールとサヘル地域の安全を守るために必要なことをしていないと主張。フランスとの関係を断ち切り、ロシアに支援を求めているものとみられる。

欧米と西側寄りのアフリカ諸国はニジェールに制裁を科しており、過激派の攻撃を後押しするという懸念が高まっている。

軍政は先月、駐仏大使に48時間以内に国外に退去するよう命じた。しかし、大使はこれを拒否。軍政は期限が過ぎると、大使の外交特権を剥奪した。

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