◎マリン氏は2019年に首相に就任。世界最年少の国家元首となった。
2022年5月11日/日本、東京の首相官邸、フィンランドのマリン首相(Franck Robichon/Pool/AP通信)

フィンランドで2日、総選挙(一院制、定数200)の投開票が行われ、中道右派政党がマリン(Sanna Marin)首相の与党・社会民主党に勝利した。

中道右派・国民連合のオルポ(Petteri Orpo)党首は支持者の前で演説し、「有権者は私たちを支持した」と勝利宣言した。

フィンランド放送協会(YLE)によると、国民連合の得票率は20.8%。極右フィンランド人党と社会民主党を引き離した。

フィン人党は過去最高の20.1%。社会民主党は19.9%に沈んだ。

<フィンランド総選挙 開票率99% 定数200>
▽国民連合:48議席(20.8%)
▽フィン人党:46議席(20.1%)
▽社会民主党:43議席(19.9%)
▽その他

最新の世論調査によると、回答者はマリン政権の「NATO加盟申請」「コロナ対策」を高く評価したという。

マリン氏は首都ヘルシンキの事務所で演説。敗北を認めた。「勝者におめでとう、国民連合におめでとう、フィン人党におめでとう、民主主義の勝利です...」

3党の支持率はほぼ横並びで、出口調査の予想通り、大接戦となった。YLEは国民連合が第一党になる見通しと報じている。

オルポ氏は演説の中で、「フィンランドは変化を求めている」と語った。「私はすべての政党とオープンな連立交渉を開始します」

YLEは専門家の話を引用し、「予想通りの結果になったが、マリン首相の政策が大幅に見直される可能性は低い」と報じている。「中道政策の転換は連立崩壊を意味します...」

フィン人党は国民連合の勝利を祝福した。同党は7議席増となった。

一方、連立政権の他の3党はいずれも大敗を喫した。

マリン氏は2019年に首相に就任。世界最年少の国家元首となった。

隣国ロシアのウクライナ侵攻に対するマリン政権の対応は称賛を集めたものの、全ての主流政党がNATO加盟を支持したため、選挙の争点は「インフレ」「社会保障」「対外債務の処理」になった。

多くのフィンランド人がマリン氏を「若者の代表」「考えが偏った人物」と見ている。

マリン氏は昨年、パーティーで歌い、踊り、酒を飲んでいる動画が公開されたことで批判を浴びた。女性、特に若者はマリン氏を支持し、批判者を差別主義者と非難。他国の女性指導者もマリン氏との連帯を示した。

YLEは専門家の話として、「オルポ氏はマリン氏のようなロックスターではないが、キャリアを積んだ民主指導者であり、落ち着き、安定している」と評した。

またYLEは「オルポ氏は若者の考えを理解できない鈍感な政治家と批判されているが、新内閣は現政権の政策を踏襲する可能性が高い」とした。

オルポ氏はすべての政党とオープンな連立交渉に臨むとしている。

地元メディアは「経済政策に重点を置いた保守内閣が誕生する」と一斉に報じた。

オルポ氏は極右フィン人党かマリン党を選ぶことになる。このどちらかと連立を組まなければ過半数を抑えることはできない。

YLEは専門家の話を引用し、「フィン人党は非常に気難しい政党であり、連立は容易ではない」と報じた。「最も自然なのは社会民主党と協力することでしょう。しかし、マリン首相は以前、党の左派に属していましたし、彼女が中道右派を嫌っているのは明らかです...」

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