◎ボリス・ジョンソン首相は声明で、「閣僚は提案された新リーグの設立を阻止するために働くだろう」と述べた。
2021年4月19日/イングランド、リバプールで開催されたヨーロッパスーパーリーグの結成に抗議する集会(AP通信/ジョン・スーパー)

4月19日、イギリス議会はイングランドプレミアリーグで活動する主要6クラブのヨーロッパスーパーリーグ(ESL)への離脱を阻止すると誓約した。

ボリス・ジョンソン首相は声明で、「閣僚は提案された新リーグの設立を阻止するために働くだろう」と述べた。

プレミアリーグをこよなく愛するウィリアム王子(ケンブリッジ公爵)も、「リーグに与える深刻な影響をファンと共有します」と懸念を表明した。「私たちはトップレベルから草の根レベルのクラブまで、すべてを公平に保護する必要があります。」

これに対し、レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長はスペインのテレビ番組の中で、「私たちはヨーロッパのサッカーを救うために行動している」と主張した。「若者はサッカーへの関心を失っています。私たちは新しいリーグを創設し、コロナウイルスを打ち負かし、サポーターを取り戻さなければなりません」

ペレス会長によると、リーガ・エスパニョーラの視聴者数とスポンサー料は大きく減少しており、ファンを引き付ける新しい何かを行わなければ、活動を維持できないクラブは消滅する可能性があるという。「視聴者とスポンサー収入は激減しました。私ちは行動せざるを得ないのです。ヨーロッパのサッカーはボロボロになりました」

報道によると、ESLへの参加を表明したプレミアリーグのクラブは、アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムの6つ。これにスペインのアトレティコ・マドリード、レアル・マドリード、バルセロナ、イタリアのACミラン、ユベントス、インテルミラノが加わる予定だという。なお、レアル・マドリードを含む15のリーグ創設クラブは降格を免除されると伝えられている。

同リーグにはヨーロッパの既存のリーグの5チームも加わり、計20チームで勝敗を争う。試合は期間中の週の半ばに行い、UEFAチャンピオンズリーグに匹敵する規模になると予想されている。

しかし、欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長は、「ESLに参加するクラブおよび選手は、FIFAワールドカップとユーロへの出場資格を失う」と警告した。

2021年4月19日/イングランド、リバプール、ヨーロッパスーパーリーグの結成に反対する集会で掲げられたユニフォーム(AP通信/ジョン・スーパー)

<ESL賛成派の意見>
・新リーグの結成でファンを呼び戻す。
・スポンサー料の上積みを期待できる。
・スポンサー料で財政難に直面しているクラブを救うことができる。

<ESL反対派の意見>
・既存のリーグの魅力が半減する。
・  〃   の収益に影響を与える可能性がある。
・FIFAとUEFAの収益は確実に減少する。
・リーグに出場できない中堅および弱小チームはスポンサー料を得られない。
・強豪チームと中堅および弱小チームの力の差がさらに広がる可能性がある。
・リーグ数を増やすことで選手にかかる負担が増加する。

イギリスのスポーツ専門チャンネル、スカイスポーツは19日の声明で、「私たちは離脱ESLとの議論に一切関与していません」と述べた。「私たちはイギリスとヨーロッパのサッカーパートナーおよびサポーターに焦点を合わせています。同社はすでに、世界最高のサッカー大会が提供する素晴らしい試合をファンに提供しています」

英議会庶民院(下院)で演説したオリバー・ダウデン文化相は、「BIG6はプロスポーツの精神に反する行為でプレミアリーグを傷つけた」と非難した。「オーナーたちはクラブの一時的な管理者にすぎません。彼らはファンの意見を完全に無視しています」

ダウデン文化相は、FIFAとUEFAの関係者と話したと述べ、「協会が対処できなかった場合、私たちが行動する」と強調した。「私たちはガバナンスの検討、競争法、サッカーの開催を可能にするメカニズムまで、あらゆる可能性を検討し、ESLに参加すると主張したオーナーと対峙します。イギリス議会は国技を保護するためなら何でもします

一方、野党労働党は閣僚らに、さらに踏み込んだ議論を行うよう促している。「政府はサッカーに改革が必要なことを理解したうえで、リーダーシップを発揮しなければなりません」

元イングランドのゲーリー・リネカー氏は大きな懸念を表明し、ESLが計画どおりに進めば国内リーグは深刻な影響を受けると警告した。「ESLは地元のサッカークラブ、コミュニティ、チームにとって非常に重要であったリーグへの参加、昇格、降格のシステムを破壊します。結果、中堅以下の大多数のクラブは駆逐されるでしょう」

市場調査およびデータ分析会社のYouGovが行った世論調査(回答者:1,730人)によると、約68%がESLの設立に強く反対し、支持したのはわずか14%だったという。

報道によると、リバプールのフーリガン約700人はスタジアムの外でESLに反対する激しい抗議活動を展開したという。あるフーリガンはユニフォームを焼き、別のフーリガンはベンチを破壊し、さらに別のフーリガンは車道近くでESLに反対する旗を振り回した。

抗議活動に参加した女性フーリガンはメディアの取材に対し、「プレミアリーグを傷つける行為に強く反対します」と述べた。「リバプールはプレミアリーグのクラブです。私たちはリーグとUEFAチャンピオンズリーグでの優勝を望んでいます」

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