◎欧州の物価はロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機の影響で高騰しており、人口の大多数を占める低中所得者層を苦しめている。
EUの統計機関ユーロスタットは30日、ユーロを使用する19カ国の11月の消費者物価指数(CPI)を発表し、前年同月比で10%増と報告した。
ユーロ圏のCPIが前月を下回ったのは1年以上ぶり。10月は10.6%だった。
エネルギー価格は10月の41.5%から34.9%に低下したものの、食品、アルコール、タバコの価格は前月を上回った。
欧州の物価はロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機の影響で高騰しており、人口の大多数を占める低中所得者層を苦しめている。
パリの肉屋とソーセージ職人は30日、連邦議会前でエネルギー価格の高騰に抗議するデモを行った。肉屋連盟の会長によると、全国の肉屋が電気料金の支払いに苦労しているという。
欧州ではインフレ率を考慮した賃上げを求める労使交渉が各地で行われている。鉄道、製油所、パイロット、郵便配達員、教師、その他の様々な労働者がデモやストに参加している。
インフレは世界の経済に打撃を与えているが、ロシアの天然ガスに依存している欧州は特に大きな影響を受けている。
しかし、液化天然ガス(LNG)や石炭などの輸入量を増やし、さらに今冬は平年に比べると暖かくなると予想された結果、天然ガスの価格はゆっくりだが確実に下落している。
欧州中央銀行(ECB)は利上げのスピードを緩和させると予想されている。
報道によると、ECBは今月15日の会合で主要政策金利を0.5%引き上げる見込み。過去2回の会合では0.75%ずつ引き上げた。
ECBのラガルド(Christine Lagarde)総裁は28日、欧州議会の演説で、「インフレがピークに達したとは考えていない」と述べた。ECBの目標インフレ率は2%である。
またラガルド氏は、「インフレがピークに達し、低下すると思わせるような兆候は今のところみられない」と述べ、さらなる利上げを示唆した。「つまり、手元にあるすべての手段を駆使して、インフレを抑制するということです!」