◎2月24日の開戦以来、100万人以上のロシア人がEUに渡航している。
EU外相は31日、ロシア人向けビザの発行を制限し、加盟27カ国への入国を困難にすることで合意した。
ウクライナ政府はロシア人の受け入れを完全に禁じるよう求めているが、EUリーダーの独仏はこれに強く反対した。
報道によると、2月24日の開戦以来、100万人以上のロシア人がEUに渡航している。
ロシアと国境を東欧諸国はより強力な入国制限を課す予定だ。
EUはロシア便の受け入れをすでに禁じている。しかし、陸路で入国することは可能であり、多くのロシア人が国境を接するエストニアやフィンランドから他国行きの便に搭乗している。
ロシア外務省はロシア人の入国禁止を「自爆行為」と呼んでいる。
ウクライナのクレバ(Dmytro Kuleba)外相は31日、決定に失望していると声明を発表した。
またクレバ氏は入国を侵略になぞらえ、「ウクライナは2月24日にロシア軍の大規模な入国を許した」と述べた。
EUのボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表はロシア人の入国が大幅に増加していることを受け、「協定の見直しが必要」という見解を示した。
ボレル氏は入国増加を安全保障上のリスクとする一方、ロシアの侵略戦争に反対する人々や市民社会を切り捨てることには問題があると警告した。
しかしボレル氏は、「ロシアと国境を接する国々は自国の判断でロシア人の入国を制限できる」とした。
ウクライナと一部のEU加盟国はロシア人のEU圏内への立ち入りを禁じるよう提案しているため、この決定は妥協案とみなされた。
エストニア、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ポーランドは共同声明で、「差し迫った問題に対処するため、一時的な禁止または制限を導入する可能性がある」と述べた。
ロイター通信はエストニア政府高官の話を引用し、「政府は数週間以内にほとんどのロシア人の入国を禁じる措置の導入を目指している」と報じた。
またロイターはEUの執行機関である欧州委員会当局者の話を引用し、「EU加盟国は開戦以来、ロシアの人口の約8%に相当する1200万人にビザを発行している」とした。
しかし、独仏政府は共同声明で、「広範囲に及ぶ制限は被害者はロシアであるというプロパガンダを助長し、将来のロシア人世代の怒りを煽る可能性がある」と警告した。