▽トランプ米大統領は先月初めに相互関税のリストを発表。90日間の一時停止措置が7月初めに切れると、EUは20%の相互関税を課されることになる。
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EUは8日、トランプ米政権が仕掛けた関税戦争を終わらせる解決策が見つからない場合に課すとしている報復関税のリストを公表した。
EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は声明で、「EUは引き続き、米国との交渉で成果を見出すことに全力を尽くす」と述べた。
またフォンデアライエン氏は「同時に、あらゆる可能性に備えて準備を進めている」と強調した。
トランプ(Donald Trump)米大統領は先月初めに相互関税のリストを発表。90日間の一時停止措置が7月初めに切れると、EUは20%の相互関税を課されることになる。
米国は全世界を対象に一律10%の関税をかけ、さらに全ての輸入自動車と部品、鉄とアルミニウムに25%の関税を課している。
欧州委員会は209億ユーロ(約3兆4150億円)の米国製品を対象とする対抗措置を策定。しかし、米政府が90日間の猶予期間を設けたことを受け、発動を保留した。
EU高官はブリュッセルとワシントンDCを行き来し、解決策を見出そうとしているが、成果はほとんど見られず、フォンデアライエン氏は8日、結果が出なかった場合に備え、950億ユーロ(約15兆5260億円)相当の「報復リスト」を公表した。
それはカテゴリー別に分類され、米産航空機、自動車、自動車部品、アルコール飲料などが対象となっている。
フォンデアライエン氏は声明の中で、「米国が自由貿易を尊重せず、関税を維持した場合に備えてリストを作成した」と述べた。
またフォンデアライエン氏は世界貿易機関(WTO)に提訴する意向も明らかにしたが、時期は明言しなかった。
欧州委員会はEUの対米輸出のうち3790億ユーロ(約61兆9310億円)相当の商品が相互関税の影響を受けると推定している。