◎EUの外相は15日の協議でベラルーシにさらなる制裁を科すことに同意した。
2021年11月15日/ベラルーシとポーランドの国境付近(Leonid Shcheglov/BelTA/AP通信)

11月15日、EUはポーランドとベラルーシの国境付近で進行中の危機を受け、ベラルーシに対する制裁を強化すると明らかにした。

EUの外相は15日の協議でベラルーシにさらなる制裁を科すことに同意した。EUは今年5月にベラルーシで発生した民間旅客機強制着陸事件を受け、ベラルーシの航空会社をEU圏内から締め出している。

EUの外交トップ、ジョセップ・ボレル安全保障上級代表は15日の記者会見で、「ベラルーシは脆弱な移民希望者をハイブリッド攻撃の駒として利用している」と述べ、制裁を強化すると認めた。

ポーランド、リトアニア、ラトビアはここ数カ月、国境を接するベラルーシから入国を試みる移民希望者の急増に悩まされてきた。移民は主にアフリカ、イラク、シリア、アフガニスタンの難民で構成されている。

独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選以来、多くのベラルーシ亡命者を受け入れてきたポーランドとリトアニアを敵視しており、移民を大量に送り込むことで混乱を引き起こそうとしている。

ボレル上級代表は制裁の詳細を明らかにしなかったが、「ベラルーシはかなりの打撃を受けるだろう」と述べた、

一方、アイルランドのサイモン・コヴェニー外相は、「EUはベラルーシの国営航空会社とのリース契約を終了する」と明らかにした。

ベラルーシの国営航空会社であるベラヴィア社は政府の方針に基づき、移民希望者を首都ミンスクに移送する「手助け」をしたと考えられている。

ルカシェンコ大統領は15日の声明で、EUが新たな制裁を科せば報復すると述べた。ルカシェンコ大統領によると、ベラルーシの警察当局は国境付近に集まった移民希望者を保護し、本国に送還する手続きを行っているという。しかし、現地の主要メディアは、「移民希望者の数は減っておらず、むしろ増えている」と報じた。

イラク政府は先日、国境付近に押し込められたイラク国民のための帰国便を手配していると明らかにした。アラブ首長国連邦はシリア、イエメン、アフガニスタン人のベラルーシ行きの便への搭乗を禁じている。

数千人の移民希望者は冷たい地面の上で寝泊まりしており、子供連れの家族は国連や人権団体に支援を求めている。ある男性は英BBCニュースの取材に対し、「ポーランドは入国を、ベラルーシは戻ることを拒否した」と述べ、助けを求めた。「私たちは国境沿いに閉じ込められています。進むことも戻ることもできません。どうすればよいですか?」

ポーランドの国境警備隊によると、14日だけで118件の不法入国を取り締まったという。ポーランド政府は先日、国境沿いの警備を強化するために兵士12,000人を追加配備した。

ベラルーシと国境を接するラトビアも15日、国境沿いに兵士3,000人を配備したと明らかにした。

一方、ベラルーシの同盟国であるロシアは15日の声明で、「EUとベラルーシの緊張を緩和する準備はできている」と述べた。ロシア軍は先日、ベラルーシ軍との合同軍事演習に核弾頭を搭載できる戦略爆撃機を派遣し、さらにウクライナとの国境沿いの兵力を増強し、EUに圧力をかけている。

ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は、ポーランド国境危機はウクライナ近くの兵力増強から注意をそらす「おとり」という主張を却下した。しかし、リトアニアの外相は、裏で糸を引いているのはウラジーミル・プーチン大統領であり、ロシア軍がウクライナに侵攻する可能性は排除できないと警告した。

ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相も先日の声明で「黒幕はプーチン大統領」と述べたが、ロシアはこの主張を却下している。

現地メディアと地元の人権団体によると、国境付近の気温は日中でも零度を下回ることが珍しくなく、テントを持っていない移民希望者はあまりの寒さに睡眠を取ることもできないという。

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