◎EU加盟27カ国の外相は10月17日の会合で制裁を決定する予定だ。
2022年10月2日/イラン、首都テヘラン中心部、道徳警察の暴力に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

ドイツ政府は9日、イラン当局の抗議デモに対する暴力的な取り締まりを非難し、EUの執行機関である欧州委員会と加盟国に行動を起こすよう呼びかけた。

ベーアボック(Annalena Baerbock)外相は地元メディアのインタビューで、「ドイツは弾圧に関与した責任者の資産を凍結し、入国を禁じると確約する」と述べた。

またベーアボック氏は、「路上で女性や少女を殴打する者は間違った側に立っている」と警告した。

ロイター通信によると、EU加盟27カ国の外相は10月17日の会合で制裁を決定する予定だ。

ベーアボック氏は「治安部隊が自由に生きることを望む人々を死に至らしめた」と糾弾した。

イランの首都テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。

抗議デモの勢いは4週目に入ってもほとんど衰えず、指導部を焦らせている。

アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)によると、治安部隊の攻撃で殺害された市民は子供19人を含む少なくとも185人に達し、数千人が負傷したという。

国営イラン通信(IRNA)はイラン革命防衛隊(IRGC)、警察、治安部隊の隊員合わせて20人が殺害されたと報じている。南東部シスタンバルチスタン州では先週、武装勢力が警察署を襲撃した。

ソーシャルメディアでは指導部の追放を求める動画が拡散し、多くのユーザーが最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師を非難している。

9日にSNSで拡散した動画には、治安部隊と思われる武装兵が大学や高校と思われる教育施設に押し入る様子が映っていた。多くの女子学生がアミニさんの死に抗議し、一部はヒジャブを脱ぎ捨てている。

8日に拡散した動画には、テヘランの大学を訪問したライシ(Ebrahim Raisi)大統領に「失せろ」と叫ぶ女子学生の姿が映っていた。

同じく8日には国営テレビ局がハッキングされる事件も発生した。視聴者は画面に白いマスクが現れ、ハメネイ師が炎に包まれる映像を見た。

抗議者たちはハメネイ氏に全権力を集中させ、女性を軽視する現在の体制を終わらせるよう求めている。

2022年5月12日/ドイツ、北部バイセンハウス、ベーアボック外相(Kay Nietfeld/pool/AP通信)
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