◎米国の寒波は今春の作付けを遅らせ、秋の収穫に影響を与える可能性がある。
米国のトウモロコシ畑(Daniel Acker/ロイター通信)

シカゴ商品取引所(CBOT)のトウモロコシ先物が18日、米国の天候不順とロシア・ウクライナ戦争による穀物輸出への懸念から1ブッシェル8ドルを超え、10年ぶりの高値となった。

トレーダーは米国の寒波が今春の作付けを遅らせ、秋の収穫に影響を与える可能性があると懸念している。

米国は世界最大のトウモロコシ生産国(食用、家畜用飼料・スターチとも)である。ウクライナは世界5位(2020年)の肥料・スターチ生産国。

RJオブライエン・アンド・アソシエーツのマーケット責任者であるフェルテス氏はロイター通信の取材に対し、「中西部の作付けは確実に遅れると見込まれている」と述べている。

米農務省によると、4月10日時点で全国のトウモロコシ畑の約2%が種まきを終え、過去5年の平均3%より遅れている。同省は18日の週報で先週の種まき実績を報告する予定である。

シカゴのアーチャー・フィナンシャル・サービスの商品ブローカーであるスミス氏はロイター通信に、「4月末までにある程度は作付けできると予想されていますが、戦争が不確実性を高めています」と語った。

戦争がウクライナ国内におけるトウモロコシの作付けと収穫に影響を与えることは確実であり、仮に一定量収穫できたとしても港湾都市マリウポリを含む貿易の拠点をロシアに占領されれば、作物の輸出は困難になる。

またウクライナは小麦の主要生産国のひとつでもあるため、米国の今年の穀物生産が世界貿易を左右すると言っても過言ではない。米国の穀物(米、小麦、大麦、トウモロコシなど)生産量は中国に次ぐ2位(2020年)である。ロシアは4位、ウクライナは9位。

ウクライナの農相は15日、港で待機している商業船に約125万トンの穀物や油糧種子が残っており、これらの一部は近いうちに劣化し使い物にならなくなる可能性があると懸念を表明した。

トウモロコシ先物Cv1は18日、1ブッシェル8.03ドルまで上昇し、2012年9月以来の高水準を記録した。

また、大豆先物は24セント高の1ブッシェル16.89ドル、小麦は28セント高の1ブッシェル11.33ドルと、4週間ぶりの高値に近づいた。

小麦先物は14日の取引で大幅に下落した後、回復した。

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