◎ゼレンスキー氏は「クリミア半島を含むウクライナの全領土からのロシア軍の完全撤退」を求めており、「1インチたりとも領土は割譲しない」と誓っている。
2023年2月23日/米ニューヨークの国連本部、採決に先立ち演説するベーアボック独外相(Bebeto Matthews/AP通信)

ロシアの同盟国である中国は24日、ウクライナ侵攻を終わらせる取り組みの一環として、和平交渉を開始するよう国際社会に要求した。

中国外務省は和平と恒久平和に向けた計画を24日午前に発表。それによると、共産党は▽西側の対ロシア制裁の全面解除▽核施設の安全確保▽民間人を避難させる人道回廊の設置▽穀物の輸出確保などを要求している。

中国はウクライナ侵攻に関しては中立の立場を示しているが、ロシアとの関係は「ノーリミット」であり、西側の対ロシア制裁を批判し、ロシア軍にドローンの供与を検討している。

また中国は「米国が侵攻を誘発し、ウクライナに防衛兵器を提供することで紛争の激化を助長した」と非難している。

中国とロシアは米国が主導する自由主義的な国際秩序に対抗するため、外交政策の足並みを揃えている。

外交トップの王毅(Wang Yi)政治局委員は今週モスクワを訪問し、プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談。こうした結びつきの強さを再確認した。

中国は米国とNATOからロシアへの兵器供与を検討していると指摘されたが、これを否定している。

しかし、独シュピーゲル紙は23日、ロシアがドローン100機の購入について中国企業と協議していると報じた。納入時期は4月を想定しているという。

共産党が提案した12項目が実現する見込みは薄そうに見える。

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は23日、スペイン首相との共同記者会見で、「中国とウクライナの代表団による会合の開催が望ましい」と表明し、こうした意向を中国側にすでに伝えていると明らかにした。

ゼレンスキー氏は「クリミア半島を含むウクライナの全領土からのロシア軍の完全撤退」を求めており、「1インチたりとも領土は割譲しない」と誓っている。

米国務省のプライス(Ned Price)報道官は23日、共産党の提案について、「米国は判断を留保する」と述べる一方、「中国とロシア政府の現在の関係は中国が中立の調停者ではないことを意味する」と強調した。

またプライス氏は「このような提案が建設的な道筋を示すかどうかは分からず、懐疑的にならざるを得ない」と述べた。

プライス氏はさらに、「米国はロシアに近いすべての国が、その影響力を利用して、ロシアがこの残忍な侵略戦争を終わらせるよう有意義かつ有用に働きかけてくれることを望んでいる」と指摘。「中国は我々にはない方法でそれを行うことができる立場にある」と述べた。

中国は提案の中で、すべての国の主権、独立、領土保全が効果的に保証されることに言及するなど、台湾問題を念頭に置いた中国の長年の立場を詳しく説明している。

また中国は米国を念頭に置き、「冷戦思考」の終結を呼びかけている。「一国の安全保障が他国の安全保障を犠牲にすることはできないし、地域の安全保障は軍事ブロック(NATO)の強化や拡大によってさえ保証されない。すべての国の正当な安全保障上の利益と懸念は、真剣に受け止められ、適切に対処されるべきである」

中国は23日、ロシア軍の即時撤退とウクライナの永続的な平和を求める国連総会の採決を棄権した。決議は141か国の賛成で採択。 7か国が反対、中国やインドを含む32か国が棄権した。決議に法的拘束力はない。

ウクライナが同盟国と協議して作成したこの決議は侵攻開始からまもなく1年を迎えるにあたり、ロシアをこれまで以上に孤立させるメッセージを発した。

中国はロシアを表立って批判していないが、「戦争を望まず、核兵器の使用に至っては完全に容認できない」と繰り返し発言している。

プーチン氏は昨年9月に併合したウクライナ4州を含むロシア領が攻撃を受ければ「利用できるすべての手段を行使する」と述べ、核兵器の使用も辞さないと示唆した。

中国は提案の中で、「戦争に勝者はいない」と提言している。「すべての当事者は合理性と自制を維持し...ロシアとウクライナ代表による交渉を支援し、できるだけ早く直接対話を再開し、紛争解決を後押しし、包括的な停戦を達成すべきである」

2023年2月23日/米ニューヨークの国連本部、ウクライナのクレバ外相(John Minchillo/AP通信)
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