◎昨年10月の議会選を制したボリソフ氏は2009~2021年初めまで首相を務めたものの、汚職、ロシアオリガルヒとのつながり、メディアへの圧力疑惑などが浮上し、全国規模のデモを誘発、退陣した。
2022年12月1日/ブルガリア、首都ソフィアの国会前、選挙法改正に抗議するデモ(Valentina Petrova/AP通信)

ブルガリアのラデフ(Rumen Radev)大統領は2日、国会を解散し、4月2日に総選挙を行うと発表した。

同国は昨年10月、1年半で4回目となる議会選を終えたものの、中道右派の「GERB(欧州発展のためのブルガリア市民)」を率いるボリソフ(Boyko Borissov)元首相は連立交渉に失敗し、厳しい政権運営を強いられていた。

ブルガリアの政治的行き詰まりは経済危機に拍車をかけている。

ラデフ氏は無所属議員に暫定内閣を指揮するよう命じ、4月2日にこの2年で5回目となる総選挙を行うと発表した。

昨年10月の議会選を制したボリソフ氏は2009~2021年初めまで首相を務めたものの、汚職、ロシアオリガルヒとのつながり、メディアへの圧力疑惑などが浮上し、全国規模のデモを誘発、退陣した。

ペトコフ(Kiril Petkov)前首相率いる脆弱な連立政権も昨年6月に崩壊した。

ボリゾフ氏は「持続可能な連立政権」を発足させると約束したが、交渉はまとまらず、国会議長の選出すらままならない状況に陥った。

GERBは67議席を獲得したものの、過半数の121議席には遠く及ばず、ある野党議員は「親ロシアの汚職政党と手を結ぶぐらいなら死んだ方がマシだ!」と主張した。「ボリゾフはダメです!」

リベラル議員は「変革を目指す」、中道は「ボリゾフ引退」と主張している。

ブルガリアはEUおよびNATO加盟国であり、政治危機の継続は2023年末のユーロ圏およびシェンゲン圏加入計画にブレーキをかけると予想されている。

国営テレビは専門家の話を引用し、「国民はウクライナ侵攻による経済危機、インフレ、親ロシア派と欧米派の対立の激化で深く分裂している」と報じている。

昨年10月の選挙の投票率は40%に届かなかった。

2021年11月21日/ブルガリア、首都ソフィアの教会、ラデフ大統領(Getty Images/AFP通信)
スポンサーリンク