◎グライナー氏は8月に大麻を密輸した容疑で懲役9年の有罪判決を受け、今月初めにモスクワの東方350kmにある流刑地に送られた。
2022年8月4日/ロシア、首都モスクワの裁判所、WNBAのグライナー選手(Getty-Images/AFP通信)

ロシア政府は29日、米国との囚人交換の可能性は消えておらず、チャンスは常にあるという見解を示した。

バイデン政権はWNBAのスター選手であるグライナー(Brittney Griner)氏や、ロシアで収監されているもう一人の米国人ウィラン(Paul Whelan)氏の解放に向け、ロシアと数カ月間交渉を行ってきた。

ロシア外務省のリャブコフ(Sergei Ryabkov)外務次官は29日の記者会見で年内の囚人交換は可能かという質問に対し、「可能性は常にある」と答えた。

リャブコフ氏によると、米国との交渉は何度か決定寸前まで進展したものの、実現しなかったという。

リャブコフ氏は記者団に対し、「実現すればロシアと米国の関係は絶望的ではないというシグナルを送ることができるだろう」と語ったが、交渉の詳細は明らかにしなかった。

またリャブコフ氏は米国に対し、「この問題を慎重に議論し、交渉の詳細は伏せる必要がある」と主張した。「米国は静かな外交ではなく、拡声器を使った騒がしい外交を行っています...」

グライナー氏は8月に大麻を密輸した容疑で懲役9年の有罪判決を受け、今月初めにモスクワの東方350kmにある流刑地に送られた。裁判所は同氏の控訴を退けている。

ウィラン氏は2020年にスパイ容疑で懲役16年の有罪判決を言い渡された。

グライナー氏はロシアのウクライナ侵攻が始まる直前にモスクワの空港で拘束された。同氏はWNBAのオフシーズン中、ロシアのプロリーグでプレーしている。

グライナー氏は裁判で大麻を持ち込んだことを認めたが、「フライトに間に合わせるために急いでおり、誤って容器を荷物に入れてしまった」と証言した。弁護団は同氏が慢性的な痛みに対処するために医療用大麻を処方されていたとする供述書を提出している。

AP通信によると、バイデン政権はロシアに対し、グライナー氏およびウィラン氏の解放と引き換えに、「死の商人」と呼ばれているボウト(Viktor Bout)受刑者を解放すると提案したという。

ボウト受刑者は米国で懲役25年の刑に服している。

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