◎最悪のシナリオ(合意なきブレグジット)は回避された。
2020年12月24日 ロイター通信/イギリス、ロンドン、ボリス・ジョンソン首相

12月24日、イギリスとEUは数カ月にわたる交渉の末、ブレグジット後の貿易協定に合意した。

合意により、商品や医薬品の流れに大きな混乱をもたらすと恐れられていた「取引なし」のシナリオは回避された。

ボリス・ジョンソン首相は声明で次のように述べた。
「取引は完了した。この合意はヨーロッパ全体にとって良い取引。イギリスとEUの新たな安定性と確実性を意味する」

「イギリスは6,600億ポンド(約92.5兆円)相当のカナダ式貿易協定を成立させた。また、交渉の争点になっていた漁業に関する取引に対処した」

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は声明で、「EUはブレグジット後の公正でバランスの取れた貿易協定に合意した」と述べた。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長:
「取引なしは4億5000万人の市民を擁するEUよりイギリスに大きな打撃を与える。私たちはこれまでで最も包括的な合意を実現することができた」

貿易協定の要点

・高い関税は回避された。

・英ーEU間の自由な往来はできなくなる。(イギリスの市民はビザなしでEUで働き、生活し、勉強し、ビジネスを始める権利を失った)

・国境チェックは英ーEU加盟国間に適用。

・アイルランド共和国と北アイルランドの間に厳しい国境チェックは適用されない。

・新漁業規則への移行期間は5年。その間、ヨーロッパの漁業者は保護される。

・環境を保護するという共通のコミットメントを維持。

・労働者の権利を保護するという共通のコミットメントを維持。

・税の透明性に関する基準を維持。

・運輸部門における乗客と労働者の権利を維持。

・イギリスはホライゾンヨーロッパなどのEUプログラムに継続的に参加する。

ロイター通信/欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長

EU加盟国の議会は、母国語に翻訳された約2,000ページの協定書を休日返上で精査し、投票にかける。

全27か国が承認すれば協定は欧州議会に戻り、欧州議会議員(MEP)の投票を経て「EUーUK貿易協定」は批准される。

しかし欧州議会は、これらの工程を12月31日までに終了させることは困難と述べており、代わりに貿易協定を「暫定的に」適用する予定だという。

MEPは12月28日に会合し、暫定的な合意への流れと新年以降にあらためて貿易協定を批准する手続きを話し合うと伝えられている。

一方、イギリス議会は12月30日に法案を議論する予定。野党労働党は24日の声明で、「協定を受け入れ投票する」と述べた。

世界に衝撃を与えた国民投票から4年半、ジョンソン首相の物語は大団円を迎えたが、イギリスでのEUに対する議論はまだ終わりそうにない。

EUを否定する議員たちは、EUの軌道に戻らないための取り組みをすでに始めている。

フォン・デア・ライエン委員長は、「イギリスの一部の人々には厳しい取引になる」と認めたうえで、「ヨーロッパは独自の道を切り開く準備ができている」と語った。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長:
「私たちが始まりと呼ぶものはしばしば終わりであり、終わりを作ることは始まりを作ることです」

「ブレグジットを置き去りにする時が来ました。私たちの未来はヨーロッパで作られています」

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