◎ウクライナが切望する長距離兵器でのロシア領への攻撃を容認するという決定は下されなかった。
2024年9月11日/ウクライナ、首都キーウ、左からラミー英外相、ブリンケン米国務長官、ゼレンスキー大統領(AP通信)

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官は11日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領らと会談し、ウクライナに対する7億ドル規模の新たな支援を発表した。

ウクライナ大統領府は声明で米政府に謝意を示したものの、ウクライナが切望する長距離兵器でのロシア領への攻撃を容認するという決定は下されなかったと明らかにした。

ブリンケン氏は会談後の記者会見で、ウクライナ指導部と長距離兵器について話し合ったことを認めた。

ロイター通信によると、バイデン(Joe Biden)大統領はウクライナに供給する長距離兵器の使用制限を解除するかどうかを調整中とみられる。

ウクライナがロシア国内の標的を米国製の長距離兵器で攻撃すれば、ロシアを刺激することは必須。ロシア大統領府は11日、西側諸国に対し、ウクライナに供与した長距離兵器でのロシアへの攻撃を容認する決定を下せば、西側の戦争への直接関与が深まることになるという見解を示した。

ウクライナ大統領府によると、ゼレンスキー氏とブリンケン氏は会談の中で、長距離兵器の使用制限の解除について話し合ったという。

ゼレンスキー氏はブリンケン氏に対し、長距離兵器によるロシアへの攻撃計画の詳細を伝え、標的になる可能性のある施設などのリストを渡したという。

ブリンケン氏は記者会見で、「今回の会談で得た情報をバイデン大統領と共有する」と述べた。

バイデン氏は13日にスターマー(Keir Starmer)英首相と会談し、ウクライナへのさらなる支援などについて協議する予定だ。

ブリンケン氏はウクライナ側の主張について、「ニーズは戦場が変化するように、常に変化するものだし、我々はそれを調整し、適応してきた」と述べた。

またブリンケン氏は「ロシアによるエスカレーション(イランの短距離弾道ミサイル獲得など)は常に考慮する要因のひとつではあるが、不必要に恐れる必要はないことも確かだ」とした。

ブリンケン氏によると、ウクライナへの新たな支援として、エネルギーと電力網の修復や秋の戦闘に向けた人道支援などを提供する予定だという。

ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への越境攻撃は37日目に突入。数十キロにわたる前線で激しい戦闘が続いているものとみられる。

ロシア軍は11日、クルスク州への越境攻撃に対する大規模な反転攻勢を開始したと発表。一部の領土を奪還したとみられる。

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