◎ベラルーシのルカシェンコ大統領は13日、ロシアの戦術核兵器の一部を打ち取ったと明らかにし、自国が侵略に直面した場合、躊躇なくそれを使用すると警告した。
リトアニアに亡命したベラルーシの野党指導者チハノフスカヤ氏(Getty Images)

リトアニアへの亡命を余儀なくされたベラルーシの野党指導者チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏が14日、ロシアによるベラルーシの核武装に深刻な懸念を表明し、「狂った独裁者に戦略核兵器を渡すべきではない」と警告した。

チハノフスカヤ氏は14日に放送された英BBCのインタビューで、「西側の指導者はこの問題をもっと大々的に取り上げるべきだ」と訴えた。

ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は13日、ロシアの戦術核兵器の一部を打ち取ったと明らかにし、自国が侵略に直面した場合、躊躇なくそれを使用すると西側を威嚇した。

ルカシェンコ氏は国営テレビの記者から「ベラルーシは予想より早く核兵器を受け取っているのか?」と質問されると、「全部じゃありません。一部です。徐々に...」と笑顔で答えた。

ベラルーシはロシアの同盟国であり、ウクライナ侵攻を支持し、ロシア軍の駐留を許可したり、領内からの攻撃を許可した。

ルカシェンコ氏は領内に配備された戦術核の威力について、1945年に広島・長崎に投下された原爆の3倍と主張した。

またルカシェンコ氏はプーチン(Vladimir Putin)露大統領に核兵器の返還を求めたことはないと強調した。

ベラルーシは旧ソ連構成国のウクライナやカザフスタンと同様に、ロシアや西側からの安全保障の見返りとして1990年代に核兵器を放棄した。

ルカシェンコ氏は「核兵器は外部の侵略から身を守るために必要な兵器である」と主張した。

プーチン氏は3月、ウクライナへの軍事支援を強化する西側への警告として、同盟国ベラルーシに戦術核を配備すると発表した。

その後、プーチン氏は保管場所の工事が完了次第、核を配備すると表明したが、ルカシェンコ氏は13日の会見で、「我が国には村の飼い犬より多くの保管場所がある」と主張。工事の一部が完了したと示唆した。

またルカシェンコ氏は「私は米国と戦うつもりはない。イスカンデル(Iskander、地上発射型ミサイル)の射程は500km以上だが、そこには届かないだろう」と述べた。

一方、チハノフスカヤ氏はこの配備について、「NATOは新たな脅威には該当しないと考え、真剣に受け止めていない」と批判した。「NATOはロシアとベラルーシを同一視しており、どっちから発射されても同じように対応すればよいと考えています...」

ロシアは最西端の飛び地カリーニングラードに核兵器を配備しており、ポーランドやバルト三国を射程に収めている。

チハノフスカヤ氏は戦術核を「危険極まりない兵器」と呼び、「ベラルーシに核を配備するなどあってはならない」と断じた。「核兵器は独立を守る最後の手段ですか?いいえ。それは国を破滅させる最悪の兵器です。西側はそれを理解し、ベラルーシへの配備を黙認しているのです」

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