◎ベラルーシは欧州で唯一、死刑制度を維持している。
2021年2月22日/ロシア、ソチのリゾート、プーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領(Alexei Druzhinin/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

ベラルーシのルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は18日、死刑の適用範囲を拡大する法律に署名した。

同国は欧州で唯一、死刑制度を維持している。

ルカシェンコ大統領は「テロ未遂」の死刑を認める法律に署名した。これにより、テロを実行していなくても有罪が確定すれば死刑に処される可能性が出てくる。

ベラルーシの主要人権団体や野党政治家はこの法律に強く反対している。

ルカシェンコ大統領が署名した法律は刑法を改正し、国際テロの計画、政府高官や公人の殺害計画に関与した個人の死刑を許可する。

ベラルーシの治安部隊は2020年8月の大統領選に異議を唱えるデモ隊を厳しく取り締まり、3万5000人以上を逮捕し、数千人を殴打した。

デモ隊はSNSなどで抗議を続けているが、ルカシェンコ大統領の締め付けは強く、複数の野党指導者がテロ容疑やテロ計画を企てた容疑で逮捕されている。

ベラルーシ当局は昨年、大統領選に立候補したスベトラーナ・チハノフスカヤ(Sviatlana Tsikhanouskaya)氏などをテロに関与したとして指名手配リストに追加した。チハノフスカヤ氏はリトアニアに亡命している。

ベラルーシでは最近、「鉄道パルチザン」と呼ばれる活動家グループがテロ容疑で逮捕された。

この団体はウクライナ国境付近のロシア軍に兵器を届けるベラルーシ鉄道の運行を妨害したと伝えられている。

チハノフスカヤ氏は18日、AP通信のインタビューの中で、「テロ未遂に対する死刑の導入は、独裁者とウクライナ侵攻に反対する人々の脅威になる」と語った。

ベラルーシで活動するビアスナ人権センターや死刑反対グループは18日に共同声明を発表し、「刑法改正は恣意的な死刑を許可し、弾圧を悪化させる」と警告した。

2021年5月25日/リトアニア、首都ビリニュス、ベラルーシのスベトラーナ・チハノフスカヤ氏(Mindaugas Kulbis/AP通信
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