12月13日、夏の不正選挙で勝利を宣言したアレクサンドル・ルカシェンコ大統領への抗議活動は4か月を超えた。

この日、抗議者たちは首都ミンスクの70以上の異なる地域に分散して抗議活動を行った。これは、治安維持部隊の一斉攻撃に対処することを目的とした野党の新しい戦術だという。

抗議の象徴、旧国旗を掲げた抗議者たちは市内の住宅街を行進し、「ヨーロッパ最後の独裁者」の辞任を要求した。

ビアスナ人権センターによると、平和的な抗議活動にもかかわらず、200人以上が逮捕されたという。

8月9日の大統領選挙で野党党首スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏に圧勝したと宣言したルカシェンコ大統領は、ロシアを除く世界の指導者から嘲笑され、EUの制裁リストに加わった。

治安維持部隊はスタングレネード、催涙ガス、ゴム弾、トランチョンなどで抗議者を打ち負かし、逮捕、監禁、拷問したと伝えられている。

抗議者たちは26年間権力を独占するルカシェンコ大統領に抵抗し続けると誓約した。

13日の集会に参加した女性はAP通信の取材に対し、「ルカシェンコの弾圧と暴力の戦術は長くは続かない。ベラルーシ人の大多数はもはや彼を信じていない。彼は有毒だ。私たちは彼の辞任を要求し続ける」と語った。

ビアスナ人権センターによると、抗議活動開始以来、治安維持部隊に逮捕された抗議者は3万人を超え、数千人が拷問を受け、4人が殺害されたという。

2020年10月12日 AP通信/ベラルーシ、首都ミンスク、治安維持部隊の取り締まり

ベラルーシの抗議(2020年)について

・5月4日、野党および数百人の抗議者がルカシェンコ大統領の大統領選立候補に抗議。

・5月、野党の有力候補、シャルヘイ・ツィハノウスキー氏が逮捕、拘留される。その後、妻のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏が立候補を表明。野党連合を率いることになった。

・5月~6月、首都ミンスクやその他の都市で抗議活動が行われ、数十人が逮捕された。

・6月5日~7日、約5,000人が平和的な抗議集会でルカシェンコ大統領の辞任を求め、警察と衝突。

・7月30日、野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏の集会に数万人が集まり、自由で公正な選挙を訴えた。

・8月9日、ルカシェンコ大統領が票の80%を獲得、6期目の当選を決める。しかし、全国で行われた出口調査の結果によると、ツィハノウスカヤ氏支持が70%に達していたという。

・8月9日、首都ミンスク封鎖。

・8月9日、首都ミンスクに数万~10万人以上(推定)が押し寄せ、不正選挙に抗議した。これに対し警察はゴム弾、催涙ガス弾、スタングレネード、放水砲などで応酬。1晩で約7,000人以上を逮捕した

・8月9日の抗議活動で少なくとも抗議者50人が病院に搬送され、何人かは重篤な状態に陥り、1人が死亡した。

・8月10日、当局はツィハノウスカヤ氏を約7時間拘束、その後、隣国リトアニアに強制亡命させた。

・8月14日、EU、ベラルーシに対する制裁を準備すると発表。

・8月16日、ルカシェンコ大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談。プーチン大統領の支援を取り付ける。

・8月19日、ルカシェンコ大統領、ロマン・ゴロフチェンコ首相および内閣の続投を承認。

・8月22日、ルカシェンコ大統領、抗議活動を厳しく取り締まると宣言。

・8月25日、ルカシェンコ大統領、ロシアから750億ルーブル(約1,070億円)を借り入れることに合意。

・8月27日、ロシアのプーチン大統領、抗議者たちがルカシェンコ大統領を力で排除しようとした場合、治安維持部隊を投入するかもしれないと示唆。

・8月29日、ベラルーシ当局、主要海外メディアのジャーナリストに与えていた取材認定を取り消す。

・8月30日、野党連合、首都ミンスクで10万人規模の大規模な抗議集会を開催。(この規模の集会は3週連続)

・8月31日、ルカシェンコ政権と交渉するために設立された野党調整評議会メンバー、リリア・ブラソワ氏拘束。その他の野党指導者も次々に拘束された。

・9月4日、ツィハノウスカヤ氏が国連安全保障理事会で演説。選挙の不正を正し、ルカシェンコ大統領へのさらなる制裁を要請した。

・9月7日、大統領選挙に立候補した野党党首のひとり、マリア・コレスニコワ氏が覆面をした複数の男たちに拉致される。

・9月8日、ツィハノウスカヤ氏が欧州評議会で演説。

・9月23日、ルカシェンコ大統領が大統領就任式を強行。各国から猛批判を受ける。

・10月1日、EU、ベラルーシ高官への制裁に合意。

・10月11日、野党連合、10万人規模の抗議集会を開催。(9週連続)

・10月12日、ベラルーシ内務省、「必要に応じて抗議者への銃の使用を許可する」と発表。

・10月24日、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官とルカシェンコ大統領が電話会談。

・10月26日、野党連合、ゼネラル・ストライキの開始を宣言。

・11月6日、EU、ルカシェンコ大統領と息子のヴィクトル氏を当局のブラックリスト(制裁対象)に加える。

【EUの制裁】
・EU加盟国への入国禁止。
・EU加盟国内に保有する資産の凍結。
・EU市民および企業への貸付禁止。

・11月12日、抗議集会に参加していた31歳の野党指導者、ラマン・バンダレンカ氏が治安維持部隊に殺害される。

・11月15日、治安維持部隊、数万人規模の抗議集会を急襲し、1,000人以上を逮捕。

・11月27日、ルカシェンコ大統領、新しい憲法が採択された場合、辞職すると示唆。ただし、改正内容や時期については一切言及せず。

・12月、国連、ベラルーシ市民の置かれている状況を嘆き、取り締まりの強化が虐待や拷問につながると懸念を表明。

・12月13日、抗議活動は4か月を超える。

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