◎リトルプーチンと呼ばれている独裁者のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、西側諸国の経済制裁を「ハイブリッド戦争」と呼び、非難していた。
2021年6月24日/ベラルーシ、スヴィスロチ地方にあるボルトニキ酪農場、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領と政府高官たち(Maxim Guchek/BelTA/Pool/AP通信)

6月28日、ベラルーシ政府はEUとの移民に関する協定を停止することで、EUの厳しい経済制裁に報復した。

EUはアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の民間旅客機強制着陸事件と、反対派ジャーナリストのラマン・プラタセビッチ氏(26歳)の逮捕に対する経済制裁をベラルーシに科しており、24日にベラルーシ産のタバコ、石油、カリ肥料を含む主要輸出品に圧力をかけることで制裁を強化した。

リトルプーチンと呼ばれている独裁者のルカシェンコ大統領は、西側諸国の経済制裁を「ハイブリッド戦争」と呼び、非難していた。

ベラルーシの外務省は28日、EUと結んでいた移民の再入国協定を一時停止すると発表した。ルカシェンコ大統領は以前、ベラルーシから隣国に脱出しようとする不法移民を取り締まらないと示唆していた。

外務省は声明の中で、「不法移民や組織犯罪との闘いにおけるEUとの協力に悪影響が出たことを遺憾に思う」と述べたが、協定を停止した理由は明らかにしなかった。

また外務省は、「政府はベラルーシに対する経済制裁に関与したEU当局者に入国禁止措置を課し、EUのベラルーシ大使を呼び戻したうえで、首都ミンスクのEU大使に国外退去を求めた」と述べた。

さらに、一部の旧ソビエト諸国との関係強化を目的としたEUの東方パートナーシッププログラムへの参加を一時停止することも明らかにした。

隣国リトアニアは今月初め、「ベラルーシ政府は国境の扉を開き、移民をリトアニアに送り込んでいる」と非難していた。地元メディアによると、リトアニアで拘束された不法移民は主に中東から来た人々だという。

ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選挙で勝利を主張したが、野党勢力と西側諸国はこの主張を却下し、広範な抗議活動に発展した。ベラルーシ国家保安委員会(KGB)は平和的な抗議者を殴打し、35,000人以上を逮捕した。

リトアニアに亡命した野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏は28日、反抗的なルカシェンコ大統領の報復制裁を厳しく非難し、野党は引き続きEUと緊密に協力すると述べた。「私のチームとすべての民主主義勢力は引き続きEUと協力し、ベラルーシの民主主義の確立に向けあらゆることをすると約束します...」

「東方パートナーシップは教育、関係国の市民との交流、政治的および経済的つながりの強化など、ベラルーシに多くの機会を与えるプログラムです。ルカシェンコはベラルーシ人からすべてを奪いたいと考えています」

EUは今月中旬、ベラルーシの国営航空会社の圏内への立ち入りを禁止したうえで、EUの航空各社にベラルーシへのフライトを速やかに停止するよう要請した。

英ライアンエアー強制着陸事件で逮捕されたプラタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏(23歳)は先週、KGB刑務所から自宅軟禁に移された。反対派はこの措置を歓迎したが、プラタセビッチ氏の父親はAFP通信の取材に対し、「二人の起訴は取り下げられておらず、人質であることに変わりはない」と述べた。

2021年6月14日/ベラルーシ、首都ミンスクの外務省、反体制ジャーナリストのラマン・プラタセビッチ氏(AP通信/ラミルナ・シブリン/BelTA/Pool)
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