◎BBCのジャーナリスト、マーティン・バシール氏は、ダイアナ妃にインタビューの承認を得るために虚偽の文書やその他の不正な戦術を使用したとされており、不正を告発したダイアナ妃の弟のチャールズ・スペンサー伯爵はBBCの完全性(透明性)に疑問を呈した。
イギリスの故ダイアナ妃(ゲッティイメージズ/AFP通信)

世界中で最も尊敬されているメディアのひとつである公共放送BBCは、1995年に放送された故ダイアナ妃のテレビインタビューに関する痛烈な報告を受け、関係当局の圧力に直面している。

BBCのジャーナリスト、マーティン・バシール氏は、ダイアナ妃にインタビューの承認を得るために虚偽の文書やその他の不正な戦術を使用したとされており、不正を告発したダイアナ妃の弟のチャールズ・スペンサー伯爵はBBCの完全性(透明性)に疑問を呈した。

ウィリアム王子とヘンリー王子は5月20日遅くの声明でBBCを非難し、1997年に発生した事故とインタビューには関連があると指摘した。ダイアナ妃は同年8月31日にパリのトンネル内で発生した交通事故で命を落とした。

スペンサー伯爵の告発を受け、BBCのテレビ番組「パノラマ」は政府当局の監視下に置かれ、BBCは現役を退いたジョン・ダイソン元裁判官に調査を依頼した。ダイソン卿は21日に調査結果をまとめた127ページのレポートを発表した。

ロバート・バックランド司法長官はBBCニュースのインタビューの中で、「ダイソン卿の調査の結果、インタビューの承認を得るために不正が行われたことが証明された」と述べた。「不正の指示はジャーナリストや制作チームではなく、もっと上の者が出していました」

「政府は調査結果に基づき、BBCのガバナンスに改革が必要かどうかを検討します。検討は注意深く、透明性を担保したうえで行われなければなりません」

BBCは1922年に設立された公共放送局で、公益のために公平かつ公正に行動し、完全性と透明性を順守し、報道に関しては説明責任を負うと規則で定めている。

1995年11月21日/英各紙はBBCニュースのマーティン・バシール氏のテレビインタビューを一面で報じた(AP通信/Martin Cleaver)

ダイソン卿のレポートが発表される前、BBCはボリス・ジョンソン首相の保守党の一部メンバーから「公共放送なのにリベラル過ぎる」と圧力を受けていた。

ジョンソン首相は声明で「同じような問題が発生しないことを望んでいる」と述べ、BBCのガバナンス改革に意欲を示した。

レポートによると、BBCは取引明細書のように見える資料をダイアナ妃に提示し、「王室の関係者がダイアナ妃を監視するための費用を何者かに支払った」と示唆したという。

スペンサー伯爵は、「バシール氏はダイアナ妃の信頼を得るために文書を偽造した」と述べた。「バシール氏は、ダイアナ妃は王室に監視されているという陰謀を強化するために文書を偽造しました...」

BBCのテレビ番組「パノラマ」を見たスペンサー伯爵はBBCの経営陣に懸念を伝えたが、相手にされなかったという。スペンサー伯爵はBBCニュースのインタビューの中で、「BBC内には弱い人や影響力のない人の意見には対処する必要がないという文化がある」と述べた。「BBCは政府に指摘されてようやく謝罪しました」

BBCのティム・デイビー局長は21日、「当時発生した問題の根底を調査し、透明性を保つためにもっと努力すべきだった」と述べたが、「現在のBBCは様々な失敗を経て規則を強化している」と主張した。「この25年間で根本的な変化がありました。現在、BBCは業界をリードする徹底的な内部告発システムを導入しており、懸念を提起するための明確で独立したルートを社員に提供しています。内部告発者は取締役会の非常勤取締役に直接アクセスすることも可能です」

ダイアナ妃は1995年のインタビューの中で、「結婚生活には3人の人間がいた」と述べ、夫のチャールズ皇太子とカミラ・パーカー・ボウルズ氏(コーンウォール公爵夫人)との関係について言及した。皇太子との結婚生活が完全に破綻していたことを率直に説明したインタビューは世界中で放送され、王室に衝撃を与えた。

BBCのガバナンスに関する中間調査は来年開始される予定。

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