◎ロシア軍は東部ルハンシク州を完全制圧し、その南西に位置するドネツク州への攻勢を強めている。
2022年7月6日/ウクライナ、東部ハルキウ州、破壊された大学校舎とウクライナ兵(Evgeniy Maloletka/AP通信)

ウクライナ政府は6日、東部ドネツク州スラビャンスクに対するロシア軍の砲撃が激化したことを受け、市内の住民に避難を命じた。

ロシア軍は東部ルハンシク州を完全制圧し、その南西に位置するドネツク州への攻勢を強めている。

英国防省は6日のレポートで、「スラビャンスクの戦いは東部ドンバスをめぐる重要な争いになる」という見方を示した。

同省によると、ロシア軍の主要部隊はスラビャンスクの北16kmの地点に陣を構えている可能性が高いという。

ドネツク州のキリレンコ(Pavlo Kyrylenko)知事はSNSの投稿で、「ロシア軍の侵攻でドネツク州全域が危険地帯になった」と述べ、市内の全住民に避難を呼びかけた。

ロシア軍はドネツク州の30~40%を占領しているとみられる。西側の専門家はルハンシク州セベロドネツクの完全制圧にかかった時間を見る限り、ロシア軍がドネツク州を完全制圧するためには少なくとも数カ月~半年はかかると見積もっている。

ルハンシク州を支配するルガンスク人民共和国の当局者は、「ルハンシク州陥落でドネツク州制圧への道が開かれた」と主張している。

しかし、ルハンシク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事は6日、「この地域の部隊はドネツク州の境界付近でロシア軍の侵攻を防いでいる」と報告した。

一方、ロシア国営メディアは6日、「ウクライナ軍がこの地域に設置した地雷の除去には数日かかるが、部隊は次の大規模作戦でスラビャンスクとそれに隣接するクラマトルスクを制圧するだろう」と報じた。

スラビャンスクは2014年のクリミア戦争でロシア軍の支援を受ける親ロシア部隊に占領されたが、ウクライナ軍は2か月半後に奪還した。

ロシア軍は東部ドンバスで攻勢を強めつつ、全国各地にミサイルを撃ち込み、当局をけん制している。

南部ミコライフ州政府は巡航ミサイルがカフェを直撃し、市民少なくとも1人が死亡したと報告した。

東部ハルキウ州では大学が空爆を受け、警備員が死亡したと伝えられている。

ロシア軍は侵攻開始から約1カ月でキーウ制圧を断念したが、ロシア安全保障会議のパトルシェフ(Nikolai Patrushev)書記は6日、「ロシアの主な目的はウクライナの指導者交代と領土の確保である」と以前の主張を繰り返した。

プーチン(Vladimir Putin)大統領の側近であるパトルシェル氏はウクライナの「非ナチ化」と「非軍事化」を目指すと繰り返し、この目標は達成されるだろうとした。

プーチン氏の侵攻に対する考えは、仏国営テレビ「フランス2」が先週放送した仏ロ首脳会談などをまとめたドキュメンタリー番組で明らかになった。

プーチン氏はマクロン(Emmanuel Macron)大統領との電話会談で、「ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は民主的に選ばれたのではなく、人々が焼き殺される大虐殺の最中に政権を取った」と主張していた。

ロシアのラブロフ(Sergei Lavrov)外相は6日、首脳会談のリークは外交儀礼に反すると非難したが、ロシアは何も恥じることはないと述べた。

2022年7月6日/ウクライナ、東部ハルキウ州の住宅地(Evgeniy Maloletka/AP通信)
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