◎現職の大統領、前大統領、元大統領数人、議会議長などがナゴルノカラバフから避難する途中で逮捕され、アゼルの首都バクーに連行された。
2023年10月1日/係争地ナゴルノカラバフの検問所、アゼルバイジャン軍の兵士(Aziz Karimov/AP通信)

アゼルバイジャン当局が係争地ナゴルノカラバフのアルメニア人高官数人を逮捕した。アゼルの国営テレビなどが3日に報じた。

それによると、現職の大統領、前大統領、元大統領数人、議会議長などがナゴルノカラバフから避難する途中で逮捕され、アゼルの首都バクーに連行されたという。

ナゴルノカラバフからアルメニアに逃れたアルメニア系住民は10万人を超え、そこで生活してきた約12万人の大半が数日中に避難を終えるとみられる。

アゼル政府はそこにとどまるアルメニア系住民の権利を尊重すると明言しているが、ほとんどの住民が弾圧を恐れ、避難に踏み切った。

ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

この地域をめぐる2020年の紛争では両軍合わせて6000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告されている。

両国は2020年11月、ロシアの仲介で停戦に合意した。アゼルは主要都市シュシャを含むナゴルノカラバフの大部分を奪還。アルメニア人は土地を追われた。

アゼル政府は昨年12月、アルメニアからナゴルノカラバフに通じる唯一の道路(通称ラチン回廊)を封鎖し、アルメニア人が生活する一部地域への物資輸送が大幅に制限される事態となっていた。

アゼル政府は9月19日、アルメニアの破壊工作員が仕掛けた地雷により兵士2人と民間人4人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始。アゼル陸軍による集中砲火を受けたナゴルノカラバフ政府はまもなく降伏し、アゼル政府の要求を全面的に受け入れた。

アゼル陸軍は現在、ナゴルノカラバフ全域を掌握し、管理下に置いている。

アゼル大統領府は同地域のアルメニア系住民の「再統合」計画を提示。「民族、宗教、言語の違いにかかわらず、安全保障を含む基本的人権を保障する」と説明している。

また、同計画は国内の他の地域と同レベルになるようインフラを改善し、免税、補助金、低利融資、その他のインセンティブも提供するとしている。

アゼル大統領府によると、中央政府の高官はこの地域のアルメニア系住民の代表と3回にわたって協議を行い、今後も協議を継続する予定だという。

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