◎アルメニア軍の兵士1人が死亡、12人がアゼルバイジャン軍に拘束された模様。
2020年9月27日/ナゴルノ・カラバフ、戦闘エリアから避難する住民(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

11月16日、アルメニアの国防省はナゴルノ・カラバフの国境付近でアゼルバイジャン軍の攻撃を受けたと発表した。

国防省の報道官は記者団に対し、アゼルバイジャン軍がアルメニアの陣地に向けて発砲し、兵士1人が死亡、12人がアゼルバイジャン軍に拘束されたと明らかにした。

これに対しアゼルバイジャンはアルメニア軍の「挑発」を非難し、敵対行為を引き起こしたのはアルメニア軍の兵士と主張した。アゼルバイジャン軍の負傷者は2人と伝えられている。

AP通信によると、アルメニア政府の高官は国防省の声明発表後、国境付近でアルメニア軍の兵士15人が殺害されたと明らかにしたという。

ロシア国防省は16日遅くの声明で、衝突は沈静化したと述べた。

アゼルバイジャンは昨年11月8日にナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国とも呼ばれている)の主要都市シュシャをアルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力から奪取した。この2日後、アルメニアはロシアが仲介した和平協定を受け入れ、6,600人以上が死亡した6週間の紛争は終結した。

ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土と見なされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

アルメニアのニコル・パシニャン首相は15日の声明で、「アゼルバイジャン軍が領土に侵入した」と述べていた。翌日、アルメニアの安全保障当局はロシアに支援を求めた。

ロシア国防省は16日、「セルゲイ・ショイグ国防相は両国の代表と電話会談を行い、ナゴルノ・カラバフの状況を悪化させないよう双方に強く要請した」と述べた。

またロシア国防省によると、パシニャン首相は国境付近の状況をウラジーミル・プーチン大統領に直接説明したという。

一方、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長はアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領と16日に電話会談を行い、緊張の高まりに強い懸念を表明した。

アリエフ大統領は電話会談後の声明で、「16日の衝突はアルメニア軍の大規模な武力挑発に対処するものであり、非はアルメニア軍にある」と述べた。「アルメニアのナゴルノ・カラバフに対する領土主張は、国家レベルの無責任な行動と言えます。アゼルバイジャンの兵士はアルメニア軍の危険極まりない行動に適切に対応しました...」

アルメニアとアゼルバイジャンの国連大使は国連本部の会合でお互いを非難した。

アルメニアの大使は「アゼルバイジャン軍が先に攻撃を開始し、状況を悪化させた」と非難し、さらなる衝突を防ぐために国際的な協議の場を設けるよう国連に要請し、「アゼルバイジャン軍の無条件かつ完全な撤退」を求めた。この撤退要請がナゴルノ・カラバフからの撤退を意味するかどうかは不明。

これに対しアゼルバイジャンの大使は、「アルメニアの声明は虚偽であり、誤解を招く」と反論した。

アゼルバイジャン人は11月10日の和平協定を「勝利」と祝ったが、アルメニア人は「敗北宣言」と見なし、大規模な抗議デモに発展した。アリエフ大統領は昨年、紛争の終結と勝利を祝ったうえで、「両国の平和、和解、共存を前進させるための話し合いを続けると誓う」と約束した。

スポンサーリンク