アルメニアの国会議事堂で乱闘、政府と反対派の対立深まる
検察庁が主導する調査委員会はサルグシャン氏と他の野党関係者15人が国家転覆を企てたとされる事件を調査している。
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アルメニアの国会で8日、乱闘が発生し、野党議員が議会の免責特権を剥奪され、テロリズム関連の容疑で起訴される見通しとなった。
政党連合「アルメニア」を代表するサルグシャン(Artur Sargsyan)議員はパシニャン(Nikol Pashinyan)首相がクーデター未遂と呼ぶ事件への関与を否定し、演説を終えた後に議場を去ろうとしたが、与党議員に抑え込まれた。
これを見た他の野党議員が激怒し、押し合いへし合いに発展。警備員が割って入った。
サルグシャン氏は演説で、「アルメニアは独裁の砦となり、すべてが事前に決定され、文書化され、承認されている」と述べた。
議員たちはその後、サルグシャン氏の免責権を剥奪する議案を賛成多数で可決した。
検察庁が主導する調査委員会はサルグシャン氏と他の野党関係者15人が国家転覆を企てたとされる事件を調査している。
捜査当局は先月末、テロリズム関連の容疑で使徒教会のガルスタニャン(Bagrat Galstanyan)大司教を逮捕し、国家転覆を企てた罪で起訴したと明らかにした。
警察は2日後、同じくテロリズム関連の容疑でアジャパヒャン(Mikael Ajapahyan)大司教の逮捕を試みたが、教徒の抵抗に遭い撤退。アジャパヒャン氏はその後、自首した。
ガルスタニャン氏とアジャパヒャン氏は検察庁が主導する調査委員会によって逮捕され、爆破や放火攻撃、電力インフラの破壊、幹線道路で事故を引き起こして交通を麻痺させる計画などを立てた罪に問われている。
ガルスタニャン氏は「聖なる闘争」と呼ばれる反対運動を率いており、アルメニア政府が昨年、宿敵アゼルバイジャンに係争地ナゴルノカラバフのいくつかの集落の支配権を譲渡し、関係正常化に合意した後、数万人規模の抗議デモを率いた。
ガルスタニャン氏はパシニャン氏に辞任を要求。アゼル政府からナゴルノカラバフを取り戻すよう要求している。
アゼル政府は23年9月、アルメニアの工作員が仕掛けた地雷により兵士2人と民間人4人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始。アゼル軍の集中砲火を受けたナゴルノカラバフの反政府勢力はまもなく降伏し、アゼル政府の要求を全面的に受け入れた。
ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。
アゼル軍の勝利により、30年にわたるアルメニア人の支配に終止符が打たれ、市民約12万人がナゴルノカラバフからアルメニアに逃れた。
当局は一連の家宅捜索で銃器や爆発物など、複数の証拠を押収したとしているが、詳細は明らかにしていない。
サルグシャン氏はガルスタニャン氏に近い人物の一人とされる。
地元メディアによると、捜査当局はガルスタニャン氏に近い人物を20人近く逮捕したという。