◎アルメニアは内陸国で、領内にロシアの軍事基地があり、旧ソ連圏の集団安全保障条約機構(CSTO)に参加するなど、ロシアと緊密な関係を構築してきた。
ナゴルノカラバフ、戦闘エリアから避難する住民(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

アルメニア国防省は6日、同国軍が米軍と合同軍事演習を行う予定と発表した。

それによると、演習は11日から始まる予定。国際平和維持活動に必要な部隊の展開や動きを確認するためのものだという。

アルメニアは内陸国で、領内にロシアの軍事基地があり、旧ソ連圏の集団安全保障条約機構(CSTO)に参加するなど、ロシアと緊密な関係を構築してきた。

しかし、2020年に発生した係争地ナゴルノカラバフをめぐるアゼルバイジャンとの戦争以降、アルメニアとロシアの関係は急速に冷え込んだ。

ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は6日、アルメニアと米国の演習について、「今日の世界情勢を鑑みると、警戒を呼び起こすと言わざるを得ない」と指摘した。

アルメニア政府はロシアの対応に幻滅し、関係の見直しを示唆している。

ナゴルノカラバフはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

2020年の紛争では両軍合わせて6000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告されている。

両国は2020年11月、ロシアの仲介で停戦に合意した。アゼルは主要都市シュシャを含むナゴルノカラバフの大部分を奪還。アルメニア人は土地を追われ、ロシアに怒りをぶつけた。

ナゴルノカラバフとその周辺地域にはロシアが平和維持軍という名目で部隊を展開している。

アゼル政府は昨年12月以降、アルメニアからナゴルノカラバフに通じる道路(通称ラチン回廊)を封鎖しており、ナゴルノカラバフへの物資輸送が大幅に制限される事態となっている。

アルメニア政府はロシアにラチン回廊を解放するよう繰り返し呼び掛けているが、ロ政府は同盟国アゼルの顔色を伺うばかりで何の行動も起こしていない。

アルメニアは今年、自国領内でのCSTO演習を拒否し、現在ベラルーシで行われている演習にも参加していない。

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