◎ナワリヌイ氏は2年前の8月20日、シベリアからモスクワに向かう飛行機内で意識を失い、ベルリンの医療機関に緊急搬送された。
ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(Getty Images)

米独両政府は20日、ロシアの野党指導者ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の決意と勇気を称える声明を発表した。

ナワリヌイ氏は2年前の8月20日、シベリアからモスクワに向かう飛行機内で意識を失い、ベルリンの医療機関に緊急搬送された。検査の結果、同氏の体内から旧ソ連が開発したとされる神経毒「ノビチョク」の痕跡が検出され、ロシア工作員の攻撃であることが示された。

ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は20日に公開したビデオメッセージの中で、ベルリンからロシアに戻り独裁者と戦おうとしたナワリヌイ氏の勇気を称えた。「私は今、暗殺未遂から生還し、祖国の民主主義・自由・法の支配のために戦いたいという理由でロシアに戻った勇気ある人物のことを考えています...」

米国務省はナワリヌイ氏の即時解放を求め、プーチン政権による野党議員や独立系メディアへの弾圧を厳しく非難した。

ナワリヌイ氏はプーチン(Vladimir Putin)大統領とオリガルヒ(新興財閥)を公の場で批判し、一部の腐敗した特権階級が富を独占しているとウェブサイトで詳述している。

米国務省のプライス(Ned Price)報道官は声明で、「クレムリンは自軍がウクライナの市民に与えている残虐行為や、この不当な戦争のせいでロシア軍兵士数万人が犠牲になっているという事実を国民に隠し、知る権利を妨げている」と述べた。

ナワリヌイ氏は20日、弁護士を通じて声明を発表し、「今日、2回目の誕生日を迎えた」とツイートした。「プーチンは私を殺そうとしたが、なぜか死ななかった...」

またナワリヌイ氏は毒殺が未遂に終わったことについて、「たった一人の男を殺せなかったことが、プーチンとその体制が機能不全に陥っていることを示している」と指摘した。

ナワリヌイ氏は昨年1月、ベルリンから帰国した直後に逮捕され、仮釈放期間中に国外に逃亡したとして禁固2年半を言い渡された。

今年3月、ナワリヌイ氏は詐欺と法廷侮辱罪で禁固9年を宣告された。同氏はこの裁判を政治的動機によるものと批判している。多くの専門家も、「ロシア当局はプーチン氏を脅かす可能性がある人物をできるだけ長く刑務所にとどめようとしている」と批判した。

ナワリヌイ氏は今週、獄中から世界に声明や情報を発信しているとして、3日間独房に閉じ込められたと明らかにした。

2021年1月23日/ロシア、首都モスクワ、ナワリヌイ氏の逮捕に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)
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