◎ロシアの警察は、投獄された野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏を支持する野党同盟の抗議集会に参加した3,400人以上を拘留した。
◎野党同盟は声明で、「数万人がモスクワに集まり、プーチンの圧政に抗議した」と述べた。ロイター通信は約40,000人と推定している。なお、国内の逮捕者を監視するOVD-Infoによると、モスクワだけで700人以上が拘留されたという。
2021年1月23日 AP通信/ロシア、首都モスクワ、抗議者と機動隊

報告によると、ロシアの警察は、投獄された野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏を支持する野党同盟の抗議集会に参加した3,400人以上を拘留したという。

ナワルニー氏はロシア産の神経ガス「ノヴィチョク」による攻撃から回復し、先日ドイツから帰国した直後に逮捕された。

ナワルニー氏の逮捕とウラジーミル・プーチン大統領の独裁政治に抗議する集会は全国に広がり、首都モスクワの繁華街に集結した数千人は「ナワルニーを釈放しろ!」「プーチンは泥棒!」などと叫び、行進した。

2021年1月23日 ロイター通信/ロシア、首都モスクワ

国内の逮捕者を監視するOVD-Infoによると、1月23日夜の時点で3,400人以上が拘留されたという。

首都モスクワでは重装備の機動隊が抗議者を警棒で打ちのめし、引きずり回している様子が確認された。

ロシアの治安当局は週の初めにナワルニー氏の側近、キラ・ヤーミッシュ氏とジョージー・アルブロフ氏を投獄し、野党同盟の1人、リュボフ・ソボル氏も一時拘留した。また、いくつかの地域で10人以上の活動家および野党同盟関係者が拘束されたと伝えられている。

治安当局者は声明で、「違法な集会や挑発を行った者は逮捕されるだろう」と警告していた。

2021年1月23日 AP通信/ロシア、サンクトペテルブルク

ナワルニー氏の妻、ユリア氏も一時拘留されたが、後に解放されたという。

野党同盟は声明で、「数万人がモスクワに集まり、プーチンの圧政に抗議した」と述べた。ロイター通信は約40,000人と推定している。なお、OVD-Infoによると、モスクワだけで700人以上が拘留されたという。

一方、ロシアの内務省は、「約4,000人がモスクワに集まり抗議した」と発表した。

極東ウラジオストクには約3,000人が集まり、行進した。ソーシャルメディアに投稿された動画には、重装備の機動隊が警棒で抗議者の顔を叩く様子が映っていた。

東部の大都市とシベリアの抗議者たちは「プーチンは泥棒!」「プーチンの宮殿には税金が投入されている!」などと叫びながら行進し、その後機動隊と正面衝突した。

ナワルニー氏と支援団体がYouTubeに投稿したプーチン大統領の豪華な宮殿の動画はこれまでに6,500万回以上再生され、物議を醸している

支援団体によると、プーチンの宮殿の整備費用は1​​3億5,000万ドル(1,400億円)ほどで、資金提供者はロシアの石油大手ロスネフチのイゴール・セチン氏や、億万長者のゲンナジー・ティムチェンコ氏を含むプーチン大統領の友人たちだという。なお、税金が投入されたかどうかは不明。

2021年1月23日 AP通信/ロシア、首都モスクワ、抗議者と機動隊

ナワルニー氏は学生の間で人気が高く、治安当局と大学は集会に参加すれば退学は免れないと警告していた。

クレムリンは先日、ナワルニー氏の逮捕について、「2014年に横領罪で執行猶予付きの有罪判決を受けたにも関わらず国外逃亡したため」と発表した。しかし、ナワルニー氏は横領を完全否定し、詐欺にあったとされる被害者(企業)も事実無根と政府を非難している。

クレムリンはナワルニー氏に対する神経ガス攻撃への関与を否定しているが、独立した諜報集団のベリングキャット、インサイダー、CNNニュース、デア・シュピーゲルのチームの調査で、当局者の関与が裏付けられている。

2021年1月23日 AP通信/ロシア、首都モスクワ

1月22日に国内の電話とインターネットがつながりにくくなったと報道されたが、これが抗議に関連しているかどうかは分かっていない。

TikTokには、機動隊の暴力や集会を宣伝する動画が大量にアップロードされていた。

ロシアのメディアおよびインターネット監視機関、「通信・情報技術・電子メディア・出版の政策立案及び規制監督の総合機関(Roskomnadzor)」は、未成年者に違法行為を奨励する動画を削除するようTikTokに命じ、多額の罰金を科すと脅迫した。

ロシアの教育省は先日、「保護者は未成年者の抗議集会への参加を止めなければならない」と警告していた。

2021年1月23日 AP通信/ロシア、首都モスクワ、抗議者と機動隊

ナワルニー氏は1月22日に弁護士を通して声明を発表した。

アレクセイ・ナワルニー氏:
「体調は良い。刑務所内で私に何かが起きた場合、不正行為として扱われるべきだ」

「私は宣言する。私の計画には、刑務所の窓枠にぶら下がったり、静脈を開いたり、鋭利なスプーンで喉を切ったりすることは含まれていない。私は注意深く周囲を観察している。私は毎日血圧まで管理されており、心臓発作を起こした場合、何かを投与されたということだ」

2021年1月18日 AP通信/ロシアのヒムキ警察署、アレクセイ・ナワルニー氏
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