◎アレクセイ・ナワルニー氏の血液中のカリウムの濃度は心停止を引き起こしてもおかしく値まで上昇し、腎臓の障害を示すクレアチニンの濃度も大きく上昇している。
2021年2月20日/ロシア、首都モスクワのバブスキンスキー地方裁判所、野党党首のアレクセイ・ナワルニー氏(AP通信/AlexanderZemlianichenko)

地元メディアによると、刑務所に投獄されたロシアの野党党首、アレクセイ・ナワルニー氏の体調は急速に悪化し、いつ死んでもおかしくない状態にあるという。

ナワルニー氏は、刑務所が適切な医療を提供しなかったことに抗議するハンガーストライキを3週間前に開始していた。

医師のヤロスラフ・アシクミン氏は4月17日、ナワルニー氏の家族から受け取った検査結果を公表した。それによると、ナワルニー氏の血液中のカリウムの濃度は心停止を引き起こしてもおかしく値まで上昇し、腎臓の障害を示すクレアチニンの濃度も大きく上昇していたという。

アシクミン氏はフェイスブックに、「ナワルニー氏の体調はいつ死んでもおかしくないレベルまで悪化しています」と投稿した。「刑務所はナワルニー氏に医療を提供しなければなりません」

ナワルニー氏を支援する医師同盟のアナスタシア・ヴァシリエワ組合長も、「すぐに行動しなければ、彼は死ぬでしょう」と述べた。「ハンガーストライキで体調が悪化したかどうかは分かりませんが、少なくともナワルニー氏が適切な医療にアクセスできていないことは確かです。このまま放置すれば、彼は確実に死にます」

ナワルニー氏はウラジーミル・プーチン大統領の独裁に抵抗する主要な野党指導者のひとりである。

地元メディアによると、ナワルニー氏の主治医は刑務所への立ち入りを禁じられているという。ナワルニー氏はひどい腰痛と足の痛みを訴え、刑務所に診察と薬の処方を依頼したが、拒否されたと伝えられている。しかし、ロシアの州刑務所は、ナワルニー氏が必要とする全ての医療を適切に提供していると主張した。

ナワルニー氏は昨年8月にソビエト産の神経ガス「ノヴィチョク」をロシアのエージェントに塗布され倒れたが、ドイツの病院で適切な治療を受けることができたため九死に一生を得た。ロシアは神経ガス攻撃への関与を否定したが、西側諸国はプーチン大統領が裏で糸を引いていると疑っている。

5か月後、ナワルニー氏はドイツから帰国した直後に逮捕され、保護観察期間の条件に違反した罪で懲役2年8カ月の実刑を宣告された。ナワルニー氏は2014年の横領事件で執行猶予付きの有罪判決を受けていたが、本人は事件への関与を否定し、横領の被害者と信じられている企業の当局者も「被害にあった覚えは全くなく、意味が分からない」とKGB検察を非難していた。ヨーロッパ人権委員会は2014年の判決を違法と結論付けている。

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