◎野党はラマ首相の汚職疑惑に抗議するデモを数カ月前から続けている。
2022年12月6日/アルバニア、首都ティラナで行われた反政府集会(Franc Zhurda/AP通信)

アルバニア警察は6日、首都ティラナで行われた反政府集会で野党指導者が顔を殴られ負傷したと発表した。

ティラナではEU・西バルカン諸国による首脳会議が開催されている。

地元メディアによると、デモ隊と一緒にサミット会場に向かっていたアルバニア民主党のベリシャ(Sali Berisha)元首相が男に顔を殴られたという。

男はその場で取り押さえられ、逮捕された。ペリシャ氏は目の下と鼻を負傷したものの、サミット会場近くまで自力で歩き、演説を行った。

警察によると、逮捕された男は31歳で、過去に暴力行為や麻薬密売で有罪判決を受けたことがあるという。身元は明らかにされておらず、動機も不明。

野党はラマ(Edi Rama)首相の汚職疑惑に抗議するデモを数カ月前から続けている。

サミット会場近くに集まったデモ隊はラマ氏に辞任を要求し、インフレとエネルギー危機が若者の国外流出に拍車をかけていると非難した。

ベリシャ氏は演説で、「ラマ氏が暴力を扇動した」と主張した。「首相は抗議デモを阻止するためにヒットマンを送ったのです!」

ラマ氏は6日、ペリシャ氏に対する暴力を非難した。

またラマ氏は「いかなる理由があろうと暴力は容認されず、取り締まりの対象になる」と述べた。

アルバニアも他の欧州諸国と同じく、ロシアのウクライナ侵攻に端を発するインフレに悩まされている。消費者物価指数(CPI)は前年比で8%増となり、人口の大多数を占める低中所得者層の生活を直撃した。

ラマ氏は家庭と中小企業向けの支援などのおかげで同国のCPIは1桁増で抑えられていると言及している。

一方、ベリシャ氏は野党が政権に復帰した場合、賃金と年金を倍増させると公約し、国民に支持を呼び掛けている。

しかし、米国務省は昨年、ベリシャ政権時代(2005年~2013年)に発覚した数多くの汚職を非難し、ベリシャ氏とその関係者を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定した。イギリスも同じ措置を取っている。

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