◎コソボとセルビアの国境周辺では武器・麻薬の密輸や民族主義者による暴力など、犯罪が横行している。
2023年11月22日/北マケドニア、首都スコピエ、アルバニアのラマ首相(AP通信)

アルバニアのラマ(Edi Rama)首相は22日、NATOに対し、コソボにおける軍事力をさらに増強し、同国とセルビア国境の治安を確立するよう求めた。

ラマ氏は北マケドニアの首都スコピエでバルカン半島のNATO加盟国首脳と会談。その後の記者会見で、コソボで起きた最近の民族間抗争が紛争に発展する可能性があると警告した。

またラマ氏は「コソボとセルビアの国境地帯は制御不能状態であり、KFOR(NATO平和維持部隊)の介入が必要不可欠である」と強調した。

報道によると、両国の国境周辺では武器・麻薬の密輸や民族主義者による暴力など、犯罪が横行しているという。

コソボは2008年にセルビアからの独立を宣言。西側諸国の大半はこれを承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国は認めていない。

コソボ紛争(1998~99年)の死者数は1万3千人と推定されている。セルビア軍によるアルバニア系住民の虐殺は国際的な批判を引き起こし、NATOが紛争を終わらせるためにセルビアを空爆した。

両国の国境ではこの数カ月で少なくとも2回、民族主義者による暴力事件が発生。西側はロシアがウクライナ侵攻から注意をそらすためにバルカン半島で紛争を起こそうとしているのではないかと懸念している。

会議に出席したNATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は記者会見で、「NATOはバルカン半島の同盟国が軍事的脅威にさらされているとは考えていない」と述べた。

またストルテンベルグ氏はコソボとセルビアの国境で緊張が高まっていることを認めたうえで、両国に自制と緊張緩和に努めるよう求めた。

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