◎民主党vs民主党の攻防で民間人1人と警察官1人が軽傷を負った。
2022年1月8日/アルバニア、首都ティラナの民主党本部事務所(Franc Zhurda/AP通信)

1月8日、アルバニアの警察は野党民主党の事務所に押し入った民主党員と支持者に放水砲を叩き込み、少なくとも33人を拘束したと発表した。

地元メディアによると、民主党指導部の勢力争いが暴動に発展したという。

首都ティラナの民主党本部事務所に押し掛けた民主党員は鉄の拳とバールで正面玄関を破壊した。これに事務所の民主党員は激しく反発し、催涙スプレーと消火器で応戦した。

サリ・ベリシャ元大統領を含む民主党派閥は8日、ソーシャルメディアに、「民主党の指導者ルルジン・バシャを排除するために行動を起こした」と投稿した。バシャ党首は昨年9月の党員集会でベリシャ元大統領に三下り半を突き付けた。

ティラナの警察当局によると、民主党vs民主党の攻防で少なくとも民間人1人と警察官1人が軽傷を負ったという。地元メディアは消火器の粉を浴び真っ白になった民主党員の姿を全国ネットで放送した。

民主党のバシャ党首は8日の記者会見で、「民主党員の民主党事務所に対する恥ずべき攻撃は、サリ・ベリシャの孤立と元大統領を今すぐ政界から追放すべきということを表している」と述べた。

またバシャ党首は、「サリ・ベリシャの犯罪組織はテロリストの道具を使って党本部事務所を激しく襲撃し、占領しようとした」と非難した。

一方、暴動を別の場所で見守っていたベリシャ元大統領は攻撃を「革命」と呼び、「麻薬政府を解体する全国キャンペーンを開始する」と宣言した。

地元メディアによると、警察は暴動の調査を開始したという。米国のアルバニア駐大使は緊張の高まりに懸念を表明し、落ち着いて話し合うよう促した。

ベリシャ元大統領の派閥は昨年末、バシャ党首を追放する”国民投票”を行い、過半数が追放に賛成したと主張したが、民主党指導部はこの主張を却下した。

中道右派のベリシャ元大統領は1992年~1997年まで大統領、2005年~2013年には首相を務め、昨年4月の議会選挙で再選を果たした。

米国は昨年、ベリシャ元大統領に制裁を科した。アントニー・ブリンケン国務長官は当時の声明で、「元首相は在任期間中、複数の腐敗行為に関与し、自分と関係者の私腹を肥やした」と非難した。

またブリンケン国務長官は、「元首相は独立した調査、腐敗防止の取り組み、そして説明責任の追及を妨害した」と厳しく非難した。「元首相の腐敗行為はアルバニアの民主主義を弱体化させました」

汚職は元社会主義国のアルバニアのアキレス腱であり、国の経済と社会的発展に大きな影響を与えてきた。ベリシャ元大統領は汚職を疑われているアルバニアの主要な政治家のひとりであり、米国への入国を禁じられている。

2022年1月8日/アルバニア、首都ティラナ、警察の放水車(Franc Zhurda/AP通信)
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