◎パイロットと副パイロットは離陸直後に口論となり、互いの襟首をつかみ合った。
2019年5月17日/フランス、パリのシャルル・ドゴール空港(Christophe Ena/AP通信)

仏航空大手エールフランスは28日、今年6月にコックピット内で殴り合いの喧嘩をしたパイロット2人を停職処分にしたと発表した。

同社によると、2人はジュネーブ発パリ行き便のコックピット内で殴り合ったものの、フライトは強行され、安全に着陸し、他のフライトに影響は出なかったという。同社は安全への取り組みを強化すると公式ホームページに声明を発表している。

報告書によると、パイロットと副パイロットは離陸直後に口論となり、互いの襟首をつかみ合った。その後、客室乗務員が仲裁に入り、ベテラン乗務員が一時的に副操縦士の代わりを務めたという。

副操縦士は客室乗務員に落ち着くよう諭され、反省。コックピットに戻った。

この喧嘩は航空事故調査局(BEA)が24日に公表した。

BEAによると、この喧嘩は偶然明らかになったもので、調査の主な目的はエールフランス社の一部パイロットが運行ルールを遵守するという意識に欠けているという報告に基づき行われたという。

BEAは2020年12月にコンゴ共和国からパリに向かった便内で燃料漏れが発生した問題を調査している。それによると、便はチャドの空港に無事着陸したものの、パイロットはエンジンへの電力供給停止や早期迂回・緊急着陸を実施しなかったという。

BEAは「エンジン火災を引き起こす可能性があった」と指摘している。

またBEAは2017年~2022年にかけて同様の事例が3件あったとし、一部のパイロットが運行ルールではなく独自の判断で行動しているとエールフランス社に勧告した。

同社はこの勧告を受け、安全監査を実施するとしている。また同社はパイロットへの教育・研修や訓練マニュアルの厳格化など、勧告に従うことを約束した。

一方、同社のパイロット組合は、すべてのパイロットが乗客の命と安全運航を最優先していると主張し、緊急事態におけるパイロットの行動を擁護した。

BEAは今年4月にニューヨークのJFK空港を出発したエールフランス便がパリへの着陸態勢に入る際に制御上の問題を起こした事件についても調査している。

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