◎子供たちはフーシ派のスローガンである「アメリカの死、イスラエルの死、ユダヤ人の呪い、イスラム教の勝利」と叫ぶよう命じられている。
2020年12月4日/イエメン、首都サナア、シーア派反政府勢力フーシの戦闘員(Getty Images/AFP通信)

1月30日、国連の専門家委員会が公表した報告書によると、イエメン内戦でサウジアラビア連合軍と戦っているシーア派武装勢力フーシに採用された少年兵約2,000人が2020年1月~2021年5月の間に死亡したという。

4人の委員で構成される専門家委員会は安全保障理事会に、「シーア派は現在も少年兵を募集しており、訓練を通じてシーア派のイデオロギーを広めている」と述べ、対応を求めた。

世界最悪の人道危機を引き起こしたイエメン内戦の死亡者数は両軍合わせて13万人を超え、民間人約12,000人が殺害されたと推定されている。国連は昨年、1,000万~2,000万人が飢餓の危機に瀕していると報告した。

委員会は、「子供たちはフーシ派のスローガンであるアメリカの死、イスラエルの死、ユダヤ人の呪い、イスラム教の勝利と叫ぶよう命じられている」と述べ、停戦に向けた取り組みを加速させるよう安保理に求めた。

また委員会は、サウジ連合軍のシーア派拠点に対する空爆で子供を含む多くの民間人が命を落としていると指摘した。戦闘に巻き込まれて死亡した子供は10,000人以上と推定されている。

報告書によると、2020年1月~12月の間に死亡したフーシ派の少年兵は判明分だけで1,406人、2021年1月~5月は562人だったという。

サウジアラビアは宿敵イランとつながりのあるフーシ派を地域の主要なテロリストのひとつと見なしており、近隣諸国および国際社会に認められたイエメン政府と共に掃討作戦を継続すると誓っている。

フーシ派はイランだけでなくレバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラやその他のジハード組織と協力関係を構築している。

委員会は、「かなりの数の少年兵が戦地で死亡した」と述べ、その多くが10歳~17歳だったと強調した。「子供たちはシーア派のイデオロギーを植え付けられ、戦地で敵兵を撃ち、殺されました...」

委員会によると、ある訓練施設では7歳の子供が武器の手入れやロケット弾の回避方法を教えられていたという。

委員会は少年兵の募集を速やかに停止させる措置を講じるよう安保理に強く要請した。「シーア派は学校やモスクなどで少年を勧誘しています。新たな制裁を検討してください」

首都サナアと主要な港湾エリアを支配するシーア派は国連の武器禁輸制裁を無視して特定のスポンサーから武器を調達している。報告書によると、武器取引に関与する関係者および仲介者は多岐にわたり、フーシ派は極めて複雑な武器取引ネットワークを構築しているという。

米国とサウジはフーシ派に武器を提供したとしてイランを非難したが、イランは関与を否定している。

委員会は「サナアに拠点を置くシーア派に忠実なジハード軍、民兵、その他の準軍組織が何かしらの形で取引に関与している」と述べた。

フーシ派は1月17日にサウジの同盟国であるUAE(アラブ首長国連邦)の石油施設にドローン攻撃を仕掛け、この2週間、各地で戦闘が急増した。

サウジ連合軍は21日にイエメン西部の刑務所を空爆し、少なくとも70人を殺害した。

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