◎国連が主導する国際チームは7月25日、行き場を失ったタンカーから石油を抜き取る作業を開始。そのほぼ全てを代替タンカーに積み替えた。
2022年3月29日/イエメン沖、紅海で行われた米海軍の演習(Mass Communication Specialist Seaman Christopher Stachyra/U.S. Navy/AP通信)

中東イエメン沖に停泊していたタンカーから100万バレルを超える石油が抜き取られた。国連が11日、明らかにした。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は声明で、「老朽化したタンカーから100万バレルを超える石油を抜き取り、移送する作戦が完了し、環境・人道上の大惨事は回避された」と述べ、関係者に謝意を表明した。

国連が主導する国際チームは7月25日、行き場を失ったタンカーから石油を抜き取る作業を開始。そのほぼ全てを代替タンカーに積み替えた。

このタンカーは国連の承認を受けるイエメン政府が浮体式貯蔵積出設備として使用していたもので、1989年の石油タンカー「エクソン・バルディーズ」号の事故で流出した石油の4倍の量が積み込まれたまま、長年放置されていた。

国連はこのタンカーのメンテナンスが行われず、パイプやエンジンルーム内の損傷が確認され、流出や爆発の可能性があることに何年も前から警鐘を鳴らしてきた。

国連イエメン人道調整官事務所は声明で、「今日、国連とパートナーは原油流出という最悪の事故を防ぐことに成功した」と述べている。

このタンカーはイエメン西部の紅海に面した港から6kmほどの地点に係留され、首都サヌアなど同国の大部分を実行支配するシーア派武装勢力フーシの管理下に置かれている。

戦争当事者はタンカーの石油を除去する取り組みを妨害したとして互いを非難してきた。

このタンカーは日本製で、1970年代に建造され、イエメン東部の油田から汲み上げた石油を貯蔵するため、1980年代にイエメン政府に売却された。全長は360mで、34の貯蔵タンクを備えている。

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