◎ジョー・バイデン大統領は会談前の記者会見で、「イランの核合意復帰に向けた交渉を再開する」と述べた。
2021年10月30日/イタリア、ローマのラヌボラ会議センター、左からジョンソン英首相、マクロン仏大統領、メルケル独首相、バイデン米大統領(Kirsty Wigglesworth/ Pool/AP通信)

10月30日、イタリアのローマで会談した欧米のリーダーはイランの核開発に深刻な懸念を表明し、核兵器の開発および取得を阻止すると誓った。

米ドナルド・トランプ前大統領は2018年にイラン核合意(包括的共同行動計画/JCPOA)から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科した。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。しかし、イランは濃縮度を大きく引き上げ、高濃縮ウランの生産を推し進めている。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

ジョー・バイデン大統領は会談前の記者会見で、「イランの核合意復帰に向けた交渉を再開する」と述べた。

バイデン大統領は記者から交渉再開時期について質問され、「まもなく再開する予定」と答えたが、具体的な時期は明らかにしなかった。

イランはまだ交渉への復帰を約束していないが、交渉団の代表は先日、11月下旬に復帰するとツイートで示唆した。しかし、欧米の交渉担当と専門家は懐疑的な見方を示している。

イランの交渉責任者を務めるアリ・バーゲリー副外相は、「イランは11月末までに交渉を再開することに同意した」とツイートした。またバーゲリー副外相は、近いうちに交渉再開日を発表すると述べた。

非公開会談後、首脳たちは共同声明でイランが交渉を中止していることについて、「同盟国はイランの挑発的な核開発に対する深刻な懸念を共有し、核兵器の開発および取得を阻止するという決意を再確認した」と述べた。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相、イギリスのボリス・ジョンソン首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、そしてバイデン大統領はG20サミットに先立ち、ローマで会談した。首脳らはまもなく開幕するCOP26にも出席する予定である。

国連のアトミックウォッチドッグによると、イランは高濃縮ウランの生産を加速させているという。米国とイランは核合意への復帰に向けた交渉をウィーンで進めてきたが、エブラヒーム・ライシ大統領は6月の就任直後に交渉を中止した。

首脳たちは共同会見の中で、ライシ大統領に交渉に復帰するようあらためて呼びかけた。イランの立法、行政、司法、軍、メディア、核計画、その他の全ての問題の最終決定はアヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者に委ねられている。

2021年6月18日/イラン、首都テヘランの投票所、エブラヒーム・ライシ司法長官(当時)(AP通信/Ebrahim Noroozi)
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