◎米国は昨年8月の首都陥落に合わせてアフガニスタンでの商業活動を制限していた。
2022年2月22日/アフガニスタン、首都カブールの通り、ブルカを着た女性(Hussein Malla/AP通信)

2月25日、米国は国内の金融機関や企業に対し、アフガニスタンに課していた商業・金融取引制限を緩和すると発表した。

財務省の報道官は記者団に対し、「国内の金融機関と企業はタリバンではなく、アフガニスタンの国民を経済的・人道的危機から救うために取引する必要がある」と述べた。

AP通信によると、ホワイトハウスの高官は財務省の許可について、「タリバンではなくアフガニスタン国民の苦しみが和らぐことを期待している」と述べ、制限の緩和と擁護したという。

米国は昨年8月の首都陥落に合わせてアフガニスタンでの商業活動を制限していた。

国連によると、アフガニスタンで深刻な飢餓に直面している人は人口の半分以上に相当する約2400万人、そのうち900万人近くが餓死の危機に瀕しているという。

財務所はアフガニスタンで活動する企業または統治機関との取引を許可すると発表したが、制裁を科されているタリバン高官などが関与する組織や企業は対象外。

国際開発庁のサマンサ・パワー長官は25日の声明で、「財務省の許可はアフガニスタンの人々が求めている基本的なニーズを支援するためのものである」と述べた。

アフガニスタンの経済は長期にわたる干ばつ、高失業率、テロなどの影響でタリバンが支配権を握る以前から厳しいものだった。旧政府も年度予算のおよそ75%を海外の援助に頼っていた。

一部の専門家は財務省が取引制限を緩和したとしても、アフガニスタンと取引したがる企業や個人は少ないと指摘している。

タリバンは国の治安と安全を確立したと主張しているが、一部の地方都市はアルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのあるジハード組織の拠点になっており、治安が回復したと信じる人は少ない。

バイデン政権は今年、アフガニスタンに3億ドル以上の人道支援を提供する予定で、世界銀行などと協力して国民を救済する準備を進めている。これらの人道援助はタリバンではなく現地で働く国際機関に直接提供される。

またジョー・バイデン大統領は、タリバン支配後に凍結したアフガン中央銀行の資産70億ドル(約8,000億円)のうち35億ドルを9.11遺族の支援に充てる大統領令にも署名した。残りの35億ドルは国連管理の信託基金としてアフガン国民の援助に充てられる予定だが、アフガン中央銀行がタリバンの影響を受けないと確約できるのであれば、同行に戻される可能性もある。

9.11の遺族はアフガン中央銀行の資産を補償に充てるよう裁判所に求めている。同行は約90億ドル(1兆円)の資産を海外に保有しており、残りの20億ドルは主にドイツ、UAE、スイスにある。

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