◎最新の統計によると、両国の死者数は4300人を超え、さらに増加すると見込まれている。
2023年2月6日/トルコ、中南部アダナ、行方不明者を探す救助隊とボランティア(Khalil Hamra/AP通信)

米政府は6日、トルコ南東部のシリア国境付近で発生した地震の被災地に支援を提供すると約束したが、シリアのアサド政権とは接触しないと言明した。

国務省のプライス(Ned Price)報道官は記者団に対し、「米国はNGOを通じてシリアを援助するが、アサド政権とは関与しない」と述べた。

プライス氏はこの決定について、「シリアにはこのような事態に対処する人道団体が複数活動している」と述べ、決定を擁護した。

トルコ南東部ガジアンテプ県付近で6日未明に発生したM7.8の地震はシリアにも甚大な被害をもたらし、多くの市民が家屋の倒壊に巻き込まれたとみられる。

最新の統計によると、両国の死者数は4300人を超え、さらに増加すると見込まれている。

プライス氏は記者会見の中で、「米国は両国の支援をすでに開始している」と述べた。

この大災害もアサド政権に対する米国の厳しい姿勢を和らげる効果はほとんどなかったようだ。シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化し、人口の半数以上が避難民となり、数百万人がトルコなどに逃れた。

ロシアとイランの支援を受けるアサド政権はイスラム国(ISIS)などの過激派だけでなく民間人も虐殺した告発されている。

近年、中東と米国の一部同盟国はシリアとの関係を修復しているが、米国は紛争の包括的な解決なしにアサド政権への制裁を解除することはないとしている。

米国の厳しい制裁はシリアを経済的に孤立させている。

ワシントンD.C.に拠点を置く米・アラブ反差別委員会(ADC)は6日、シリアへの援助を容易にするために、米政府に制裁を直ちに解除するよう求めた。

ADCの事務局長は声明で、「私たちはシリア、トルコ、そして地域全体の人々に緊急の人道支援と救済を提供している現場の組織を称賛し、感謝しています」と述べている。「制裁を解除することで追加援助の道が開かれ、支援を必要としている人々に即時の救済を提供することができるのです...」

しかし、プライス氏は、「米国はNGOと協力するという現在の方針を変えない」と言明した。「バイデン政権は国民の福祉、幸福、利益を第一に考える姿勢を決して崩しません。その国民を過去十数年にかけて苦しませてきた政権と交渉することはなく...現場のパートナーに相当量の人道支援を提供し続けます...」

またプライス氏は「シリアとトルコに援助を届けるプロセスは異なるが、米国は両国の被災者を助けたいと考えている」と強調した。「トルコには政府というパートナーがいます。シリアには現地で人道支援を行っているNGOというパートナーがいます」

プライス氏によると、ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は6日にトルコのチャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相と電話会談を行い、哀悼の意を表するとともに、必要な支援を何でも提供する用意があると伝えたという。

プライス氏はブリンケン氏の声明を引用し、「米国は同盟国に必要な支援を用意する準備ができており、シリアのNGOにも同じように対応する」と述べた。

バイデン(Joe Biden)大統領は6日、エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と電話会談を行い、NATOの同盟国であるトルコに必要なあらゆる支援を提供すると約束した。

バイデン氏は犠牲者に哀悼の意を表し、政府高官にトルコ当局と支援について協議するよう命じた。

2023年2月6日/トルコ、中南部アダナ、行方不明者を探す救助隊とボランティア(Khalil Hamra/AP通信)
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