ガザ人道財団の配給所でパレスチナ人800人死亡=国連

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は11日午後の時点で5万7881人、負傷者は13万7899人となっている。
2025年7月10日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部の食料配給所近く(AP通信)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は11日、パレスチナ・ガザ地区南部の食料配給所とその周辺で死亡したパレスチナ人が800人近くに達したと明らかにした。

米国とイスラエルが主導するガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。OHCHRによると、それ以来、配給所とその周辺で少なくとも798人のパレスチナ人が殺害されたという。

GHFはイスラム組織ハマスが戦闘員に対し、民間人向けの援助物資を略奪するよう指示したと主張。ハマスはこれを否定している。

OHCHRの報道官は11日、ジュネーブの記者団に対し、「GHFの支援方法は本質的に安全ではなく、人道的中立性の観点から見て、明らかに違法である」と語った。

また報道官は「5月27日から7月7日までの間にこの配給所とその付近で少なくとも798人が死亡した」と明らかにした。

このうち615人が配給所周辺で、183人が配給所に続くルート上で死亡したという。

イスラエルとハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。

トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。

イスラエル政府の高官は今週、ロイター通信の取材に対し、「1~2週間以内に停戦と人質の解放で合意する可能性があるが、すぐに合意することはない」と語った。

また高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦を提案する用意があると述べた。

イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。

トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。

ハマスは過去の協議で「恒久的な停戦」を求めてきた。

一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は11日午後の時点で5万7881人、負傷者は13万7899人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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