◎トルコは2012年に同条約を最初に批准した。
2020年8月5日/トルコ、イスタンブールで行われた女性の権利保護を求めるデモ(Getty-Images/AFP通信)

トルコの最高裁判所は19日、女性の権利を擁護し暴力から保護するイスタンブール条約から離脱したエルドアン政権の決定を認め、その取り消しを求める訴えを棄却した。

エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は昨年、欧州評議会の国際人権条約であるイスタンブール条約から離脱し、女性の権利団体や欧米諸国から批判を浴びた。

トルコは2012年に同条約を最初に批准した。

半国営アナトリア通信によると、複数の女性団体がエルドアン氏の条約離脱(大統領令)に異議を唱える請願を提出したという。

しかし、最高裁はこの請願を棄却した。

エルドアン氏の報道官は最高裁の決定を歓迎し、「法的根拠に欠ける議論に終止符を打った」とした。

一方、主要野党はこの決定とエルドアン政権を批判し、「来年の総選挙で政権を奪取すれば、24時間以内に条約に復帰する」と宣言した。

昨年の脱退は、エルドアン政権の保守的な高官が条約に異議を唱えたことから始まった。報道によると、この高官は「条約は離婚を奨励し、伝統的な家庭とトルコの価値観を破壊する」と主張した。

また高官は「条約は同性愛を助長する」と批判し、LGBTQ+を「変質者」と呼んだ。

一方、エルドアン氏は条約から離脱しても女性の権利は保護されるとし、今年3月には暴力犯罪の被害者が女性の場合、より厳しい判決を被告に科すことができる法律を施行した。

イスタンブールに拠点を置く人権団体「We Will Stop Femicide」によると、国内で2022年に殺害された女性は6月末時点で220人を超えたという。昨年は425人が殺害された。

スポンサーリンク